Quora回答シリーズです。
質問
パソコンのOSがクラウドにならないのは何故ですか?
※質問ページ
まだ一般的に普及しているとは言い難いですが、お仕事で利用している方は多いはず。かなり昔に設置業務をお手伝いしたことがあったので回答してみました。
回答
仮想デスクトップ
「仮想デスクトップ」のことをおっしゃっているようでしたら、ちょっと前から提供が始まっています。
- Microsoft (Azure)
- Amazon (AWS)
シンクライアント
これらが登場する前には「シンクライアント」と呼ばれる技術がありまして、楽天や金融系などの大手企業が導入していました。シンクライアント自体は非常に古い考え方で20年以上前から様々な企業が参入しています。
利用者の机の上には手のひらサイズの端末が支給されます。電源を入れUSBでキーボードやマウスを接続、ディスプレイに映すところまでは同じですが、実際のOSやデータはすべて(自席から)遠く離れた場所にあるサーバ内にありネットワーク経由でアクセスします。
シンクライアントのメリット
この技術の良いところは以下のような点です。
- 利用者の端末を安価でコンパクトにできる
- OSの設定(セキュリティなど)を1台ずつ人間がしなくても良いので、運用コストを下げることができる
- データがクライアント上に無いので情報の漏洩リスクを下げることができる
シンクライアントのデメリット
ただ実際の処理をサーバ側で行いますので、こちらがボトルネックになる可能性があります。
何らかの障害が発生するとすべての利用者の業務が停止する恐れもあります。例えばネットワークが切断されると終わりです。利用者数にサーバの処理能力が追いつかなくなると処理が完了されるまで待たされる場合もあります。このあたり(特に後者)はクラウド事業者が提供する仮想デスクトップでは解消されているはずです。もちろん処理能力に応じてお金はかかりますがw
一般的な事務職のような使い方(EXCELやWord)であれば良いのですが、例えば動画編集などPCの処理能力を必要とする場合、現時点ではローカルに超スペックのPCを買ってきた方が安くあがりますし快適でしょう。
あとはネットワークを通じてやりとりをしますので、情報の遅延(レイテンシ)はどうしても発生します。極端なイメージとしてはクリックして数秒間待ったあとに操作が実行されると行ったような感じです。最近は遅延をあまり感じさせない技術が生まれていますが、ゼロにすることはできません。このあたりの厳密性が問われるような環境にもあまり向いていないかもしれませんね。とは言え、プロゲーマーのような1フレーム単位の厳密性が要求されるようなシーンでなければ実用上は問題ないと思いますが…。