映画「アナと雪の女王2」まるでファンタジーRPGなアナ雪2 ★★★★☆

どちらかと言うと悪い意味で話題を呼んでいる「アナと雪の女王2」を12月17日にレイトショーで観てきました。

Twitter上でいわゆる「ステマ」をディズニーがやっていたと騒ぎになっていますが、一般的にこのくらいの規模の作品になると、映像を制作しているとスタジオと、プロモーションを行う広告宣伝部隊は別の組織ですので、作品の面白さには直接的に関係ありません。

作品の内容よりもステマの話題の方を耳にする機会の方が多かったこともあり、どんな作品だったのか、かんたんに記録を残して置こうと思います。

以下、重大なネタバレあり

世界の秘密を暴け!新作ファンタジーRPG「アナ雪2」

前作は裏切りや陰謀にまみれた人間ドラマが印象的でしたが、今回は仲間たちと見知らぬファンタジー世界を冒険し、途中で出会う4大属性の精霊を味方につけ、世界の謎と隠された歴史を暴けというお話。

……RPGだこれ(゚д゚)! そう日本人が古来より愛して止まないファンタジーRPG的な展開でした。

3Dが驚くほどレベルが高く終始見入っていました。概ね想像の範囲内の出来事で、衝撃的な展開はあまりありませんでしたが普通に面白いw Twitterでは「泣ける!切ない!もうやめて!……からの感動が止まらない!」的な感想をちらほら見ましたが、私はサッパリでしたw 正直すみっコぐらしの方が泣けるし実際号泣しましたw

前作のように絆を大切にした感動超大作というより、エルサが魔法使いまくり、精霊が力を行使しまくりなので、ファンタジー冒険物として楽しい作品ですね。所々挟まれる小粋なジョークも楽しく、動く雪だるまのオラフを見てびっくりした先住民へ「あ、ごめんごめん服は着ないんだ」は笑いましたw クリストフが歌い出すと突如アーティストのMV風の演出が入るのもクリエイターが乗ってる感じがして最高ですねw

前作ほどの衝撃や展開は正直ありませんし、歌においては全体的に良い曲が続く物の「レリゴー」のような代表的な曲は登場しなかったのは少し残念でしたが普通におもしろいです。とにかく映像…というか3Dが非常に良く最後まで集中して見ることができました。これから観に行くという方は前作とはお話の構造がガラッと変わっているのでそこだけ注意が必要ではあります。

さて、ここからは少しお話を追っていきしょう。

「謎の声」が平穏な日常を壊す…?

エルサとアナがまだ子供のころに父親から聞いた不思議な魔法の森の話から始まります。 その森では風や水、火、土を司る精霊達と原住民達が平和に暮らす世界でした。彼らは魔法を使うわけではなく厳密には精霊たちの力を借りて日々の生活を営んでいたのです。そこにエルサとアナの祖父である当時の国王が、治水のためのダムを原住民への「贈り物」として建造、その完成記念式典が開かれるのですが、結果的に式典会場で王国と原住民達との間で血で血を洗う戦いが起こります。これに怒った精霊達は人間たちを攻撃し、森を霧で覆い誰も入ることができない状態にしてしまいます。式典に参加していたエルサとアナの父は誰かの手により命を救われ王国に戻ることが出来たのですが、一体誰によって助けられたのかはわからないまま。

それから十数年に月日が流れ、前作の事件のあとのこと。 エルサは霧で覆われた森から聞こえてくる「謎の声」に気が付きます。これが王国や自分のあり様をガラッと変えてしまうのではないか、平和で幸せな今が失われてしまうのではないかと不安にかられ悩んでいたある日、突如王国に異変が訪れます。街から火や水が消え、風は人を吹き飛ばす勢いで襲いかかり、大地が震えます。人々はエルサの先導により高台に逃げ延びますが、これがエルサに「謎の声」を調べに行く決心を付けるのでした。

30年戦争と母の秘密

「謎の声」はこれまで誰も入れなかった森から聞こえてきていました。 エルサ、アナ、アナの恋人クリストフ、トナカイのスヴェン、声変わりをした動く雪だるまオラフの一行は森へ入ろうとしますが弾き返されてしまいます。ところがエルサが霧に触ったとたん、まるで招待されるが如く中に放り込まれるのでした。そして、唐突に竜巻状の風の精霊が襲いかかってくる物のエルサがすべてを凍らせることであっという間に片付けてしまいますが、そこに残されたのはダムの式典の日に精霊に襲われ倒れる父とそれを助ける女性の氷像。風の精霊は何かを伝えたかった…?

一行が首を傾げていると突如左右から臨戦態勢の人間たちに囲まれます。霧で閉ざされて以降の30年の間ずっと争い続けた王国の兵士と原住民達でした。兵士たちは30年前に原住民から攻撃を受けた、原住民たちは自分たちは絶対に攻撃しないと現在に至っても平行線のまま戦いをやめません。アナとエルサは王国の王族であることを兵士たちに、魔法が使えることを原住民達に話し(…というか実際に行使しw)お互いの敵ではないと説得し、真実を突き止めこの霧を晴らすことを誓います。

原住民と打ち解けるアナ達ですが、アナの来ている母の形見の服はこの原住民でも由緒正しい家系の人間が身につける物だと教わります。ハッとするアナ。風の精霊が残した氷像に駆け寄ると父を助ける女性にもアナの服と同じ模様が。そうアナとエルサの母は実は原住民の一族だったのです。エルサが魔法を使えるのも母の血が影響しているのだと気が付かされるのでした。

冒険のはじまり

エルサが原住民や兵士たちと話していると、突然火の精霊が荒ぶって全員に襲いかかるのをアナが魔法で収めたことが、打ち解ける決定打となったのですが、この火の精霊が手のひらサイズの愛嬌のあるのも面白かったですねw トカゲなのはサラマンダーから来てるのかな。というのもこれまで風の精霊が襲いかかってきたときは「竜巻」では有るものの生き物の姿ではなかったのです。初めて精霊がその実体を見せた瞬間でした。

精霊は意外とかわいいデザインで攻めてくるんだなwwwと思って油断した直後、真夜中に現れたのは巨大なゴーレムの姿をした土の精霊でした。ワンダと巨像に出てくるような恐ろしい石の巨人。5階建てのビルほどの大きさはあろうか、ノッシノッシと近づいてくるのに気がつき慌てて火を消す原住民、反射的に視線をそらし隠れるアナ達。なんとか無事に立ち去ってくれるのですが、あの巨人の目当ては自分かもしれない、ここにいては皆が危険にさらされると思ったエルサは一人、声がする方へ旅立とうとするのですが、それをアナに必死に止められます。自分も連れていけと。エルサの意思を尊重するし否定はしない、死んで欲しくないだけとの必死の訴えにさすがのエルサも「お、おう」と首を縦に振らざるを得ません。

そして二人…とオラフの一行は夜明けを待たずに旅立つのでした。 ……あれ?誰か足りない?←

両親の死、明かされる過去

二人+αがひたすら北を目指し歩いているとやがて海に出ます。そこにあったのは見覚えのある船でした。エルサとアナの両親はまだ二人が幼いころに南の海へ旅立った際、船が沈没し帰らぬ人となってしまいます。その両親が乗っていた船が目の前にあるのだと気が付きます。ここは北の果て。どうしてここに…二人は南へ旅立ったのでは…?

二人は船の中に入り手がかりを探し始めます。文献を見つけますが読めない文字の中に母の文章を見つけます。二人はエルサが魔法を使える原因となっている「根源」を見つけようと旅立っていたことを知ります。その根源たる場所を見つけることに成功し北へと向かいますが、途中にある荒ぶる海を越えることが出来ず……。

真実を知ったエルサは悲しみにくれます。自分のせいで両親は死んでしまったと。もちろんアナはそうじゃないと、両親は自分の意思で旅立ったのであってエルサのせいではないと必死に励まします。が、ここですでにエルサの気持ちは決まっていたのかもしれません。

アナとエルサの別れ

エルサはここから先は一人で進むと宣言します。もちろんアナは猛反対しますが結果的にエルサは魔法でアナとオラフを氷の船に乗せもと来た道を無理やり戻します。すさまじいスピードでw …あれ、これバランス崩すと死ぬヤツでは?鬼かw(;´∀`) これまでたどってきた道が凍っているのですよね。その上を走る氷の船。もしかしたらエルサはこっそりヘンデルとグレーテルのパンくずのように、最初からアナを帰還させるつもりで凍らせながら進んできたのかもしれません。

エルサは荒れ狂う海に一人で対峙しています。意を決し海を駆けるエルサ。魔法の力で自分の足元を凍らせながら「謎の声」が聞こえる島まで一気に駆け抜けようとしているのですが、巨大な波の前に何度も押しつぶされ浜辺へ打ち上げられてしまいます。今度こそは…と挑戦するエルサ、波にかなわず海の底へ沈むエルサ。そこへ現れたのは馬の形をした水の精霊でした。水の精霊は暴れ馬の如くエルサへ攻撃を仕掛けます。魔法で応戦しますが地の利(水の利?)で優る精霊に苦戦を強いられますが、氷の手綱をかけることに成功します。その後水の精霊と意気統合したエルサは「魔法の根源」であり「謎の声」がする島へとたどりつきます。

時を同じくし、氷の船でもと来た道を帰らされたアナとオラフは、余計な抵抗をし川へと落ちてしまいます。そこにいたのは土の精霊の大群でした。夜行性だった精霊たちは眠りこけており洞窟の中に逃げ込みますが、案の定出口がわからなくなり迷子となります。アナもオラフも悲しみにくれています。迷ったこともですが信じていたエルサに裏切られるような形で送り返されるとは…。もちろんエルサの優しさであることはわかった上ででしょうが、やりきれない気持ちを抑えることは難しい。オラフに励まされ出口を目指し進みます。今自分たちができることをしなければ。

祖父の過ち

ついに「謎の声」へとたどり着いたエルサは、精霊から過去に起こった真実の映像を見せられます。……VRかな?←

そこにあったのは当時国王だったエルサの祖父が、魔法を使う原住民達を恐れ、無防備な彼らの代表を殺める姿でした。原住民達は武器を持たない丸腰の状態で、ダムが自然や精霊たちに悪い影響を及ぼすことを懸念しておりその相談を国王にしていた最中でした。そしてエルサは過去を見続けた代償として凍りついてしまいます。完全に凍り意識を失う寸前にアナの元へとこの真実を届けようと最後の魔法を放ちます。

アナとオラフがようやく出口を見つけたときに、エルサの魔法が届きます。祖父が原住民達の長を切る付ける氷像を見てすべてを察するアナ。自分のやるべきことを見つけたアナは行動を起こそうとしますが、オラフの様子がおかしいことに気がつきます。徐々に体が消えていくオラフ。溶けない氷の魔法が力を失っているのです。術者の身に何かあったのだろう…オラフもアナも最悪の展開を頭に浮かべます。そしてただの雪になるオラフ。もうしゃべることのないただの雪に。

親友のようにずっと一緒だったオラフ、そして姉も遠くに旅立ってしまった…。

過ちを正しすべてを元に

アナは吹っ切れたように走り出します。 地の精霊達が眠る川に舞い戻り彼らを焚き付けます。自分についてこいと煽りひたすらダムに向かって突き進みます。眠っていたのを無理やり起こされ激おこの土の精霊たちは木や石を投げつけ時にアナを踏み潰そうと追いかけてきますが、命からがらダムに到着するアナ。そこにいた兵士たちに祖父が悪かったこと、諸悪の根源たるダムを壊し元に戻さなければ解決しないことを説き伏せ、兵士たちと共に土の精霊の意識をダムに向けます。

そして、アナの思惑通り土の精霊の攻撃により破壊されるダム。今まで堰き止められて大量の水が王国に向かい津波となり押し寄せます。そこに現れたのは……。

長い旅の果てにたどり着いたのははたしてハッピーエンドだったのか、それとも…。続きは劇場でどうぞ。

ステマ関連のお話

ざっくり言うと以下のような事件が現在進行系で世を騒がせています。

  1. アナ雪2の公開に合わせ、Twitter上で複数のマンガ家がアナ雪2がオススメであるマンガを公開
  2. あまりにタイミングが合いすぎるのでディズニーがステマを仕掛けたのでは?と話題に
    • 「PR」などの表記がないため
  3. ディズニーが有償で依頼したことを認める
  4. マンガ家達が一斉にディズニーから有償で依頼されたとツイートする
  5. 他のディズニー作品でも同様のことが行われていたのでは…?という疑問が発生
  6. 他作品でも行われたことをディズニーが再び認める

日本においてステルスマーケティングの違法性はないため、特に何か処罰されることはないでしょうが、ブランドの毀損は避けられないでしょう(商品を実際よりも極端に良く見せる行為は景品表示法などに抵触する可能性はあります)。これからディズニー作品を誰かが褒めているところを見るとこれもステマでは?と想像されることは容易に想像できます。またディズニーに限らずその他の企業が行っているプロモーションにも影響が出る可能性もあるのではないでしょうか。

また正式に報道はされていないようですが電通が取り仕切っていたという話もあり、揉めているとかいないとか。

どうもディズニー本社が電通に対し二桁ミリオンドル(10億円単位)の賠償を要求している(すでにした)という話が話題になっています。内容としては35億円とも40億円とも言われているようですが、はっきりしたことはこれから出てくるようです。

ステマ騒動のディズニー『アナと雪の女王2』で電通は10億円単位のペナルティを払うかもしれないより

いやね、こんなリスキーなことしなくてもディズニーならマスに広告打つだけでお客さん来るだろうに…。特にアナ雪なんて前作の大ヒットが手伝って黙っていてもそれなりの集客が見込めるというのにもったいない。自分も正直なところ上映開始ギリギリまで脳内はステマのことで頭がいっぱいになってましたね。

騙すならばれないように完璧に騙してくれ ←

参考ページ

アナと雪の女王 2  オリジナル・サウンドトラック スーパーデラックス版