映画「シュガー・ラッシュ:オンライン」ラルフ、YouTuberになる ★★★☆☆

2012年に公開された「シュガー・ラッシュ」の続編、「シュガー・ラッシュ:オンライン」を封切り日に見てきました。

結論から言うと……なにこれ切ない。 クリスマスや年末年始シーズンに公開される映画だよね?しかもディズニー映画で!?ってくらい意表を突かれたテーマとラストでした。原題のRalph Breaks the Internetの名の通り、主人公ラルフが最終的にインターネットの世界を壊して回るのですが、壊れたのは果たしてインターネットだけだったのか…。


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以下、ネタバレあり

シュガー・ラッシュ終了のお知らせ

PV(予告編)を見ると、ディズニーキャラクターはもとより、アベンジャーズのMARVELやスターウォーズのルーカスフィルムが大集合、さらに前作から引き続き有名ゲームメーカーのキャラのゲスト出演に加え、今回のタイトルにもなったインターネット関連企業も登場と盛りだくさんな内容で劇場に行く前からワクテカさせられます。

……が、そこに騙されてはなりませんw 油断していると緩んだ顔面に右ストレートが飛んできますw

前作で友情を育んだ悪役キャラのラルフと、一人ぼっちのお姫様であるヴァネロペ、物語は前作から6年後のある日、ゲームセンターにある「シュガー・ラッシュ」の筐体が壊れてしまうところから始まります。残念ながら製造メーカーもすでに倒産しており部品を取り寄せることもできず、「シュガー・ラッシュ」の世界にいたキャラクター達は他のゲーム世界への移住を強いられる。

落ち込むヴァネロペを見たラルフは、インターネットの世界に行けば、壊れた部品が取り戻せるのでは?との思いつきから、広大なネットの海へと旅立ちます。

ネットはお金儲けの世界?

終始気になったのは、壊れた部品を得るために二人がなんとかしてお金儲けをしようとするのですが、ネットはお金にまみれているような表現がちょっとばかり鼻につく。間違っちゃいないんですけどね。

最初にオンラインゲームで貴重なアイテムを手に入れWebサイトで販売する、RMTで稼ごうとしたときには、悪い意味でちょっと愕然としました。

RMTそのものは、基本的にゲームを運営する会社は忌み嫌う存在であり、ここでは説明を端折りますが違法性を指摘する声もあります。特に前作でゲームを題材とし、レトロゲームファンの心も掴んだ作品がのっけからこれでは…と眉を吊り上げながら見ていました。ただこういった取引は広く行われており逆に取り上げないのは不自然、演出としても怪しいところに連れ込まれるところから真っ当な商売ではないと印象づけようとする意図はわかるんですがね。

そして次に訪れるのが「動画共有サイト」。

ラルフ、YouTuberになる

作品の中では「BuzzTube」と名前を変えていましたが、YouTubeですねw この「BuzzTube」はハート…YouTubeでいうところの「Good」(高評価)の数をそのまま換金できるという太っ腹なシステムになっており(複垢対策どうなってるんだろうw)、ラルフは視聴回数を得るために他のYouTuberのマネを初めます。幸い炎上したりはしないのですがYouTuberを揶揄するシーンは中々楽しいw …ところで、ゲームキャラのラルフはYouTubeというよりは、VTuberにあたるのかな?

さて、実際の映像はラルフが担当するとして、手持ち無沙汰のヴァネロペは自分のことなのに何もしていないもどかしさも手伝い、集客のお手伝いをディズニーのWebサイトで行うことに。PVでプリンセスがやたらでくるシーンですね。あれですw このシーンは細かいディズニーネタが盛り込まれていてめっちゃ楽しいですねw 旧来からのファンであればあるほど笑えましたw

お話的にはこれが分水嶺。結果的にヴァネロペの迷いを生み、ラルフとの別れにつながるとは…。

「離れたくても離れられない、だから少しくらい離れても大丈夫」

前作のラストでは大量発生したバグをなんとかしたわけですが、今作もやっぱり大量発生するのです、それは……実際の映像でご確認くださいw その大量発生した「アレ」が巨大なGoogleのビルによじ登る姿はまさにドンキーコング。もちろんその手にはプリンセスたるヴァネロペの姿も。そこにPinterestのピンで立ち向かいラルフw

ラルフの成長ストーリーでもある本作、結果的に2人の協力で「アレ」をなんとかするのですが、その代償として、ラルフはヴァネロペと一緒にいることを諦めます。6年間ずっと一緒だった二人。ヴァネロペはインターネットの世界へ飛び出すことで「シュガー・ラッシュ」では叶えられない夢を見つけてしまうのです。ラルフはこれまでと同じような生活を望みますが、それではヴァネロペを縛り付けてしまう。

BuzzTubeでヴァネロペが宣伝に旅立つ際の会話が脳裏をよぎります。

ラルフ「オレとヴァネロペはずっと一緒だったんだ、離れたくても離れられない」 ヴァネロペ「離れたくても離れられない、だから少しくらい離れても大丈夫」

ラルフはよく言えば純粋、悪く言えば子供のように寂しがりやでヴァネロペを求めている、ヴァネロペだって離れたくはないのです。しかし二人は最終的にそれぞれの道を行くことを決断します。

約束された次回作?

制作陣も、観客的には二人が一緒にいて、楽しく暮らすことを望んでいることはわかっていてあえてのこの展開。おそらくすでに計画されているであろう次回作でまた二人が出会い、一緒の道を進むのだろうなと思えてなりません。しかしね、観客的には今見ている作品がすべてなんですよね。そこの救いも入れてほしかったかな。どんな気持ちで年を越せばいいんだw 前作が2012年ともう6年前、次回作はいったいいつになるんだろうw

エンドロールを迎え、同じ気持ちになる方も多いと思いますが、おまけの「パンケーキ&ミルクシェイク」で仲睦まじい二人を目にして、これだこれこれ、これが見たかったんだよ!こっちが本編か!と立ち上がりそうになったのはまた別のお話w

結論として、お祭り映画だとしてもちょっとまとまりにかけるような気がしました。前作では閉じられたゲームセンターの中で繰り広げられるお話ということもありキャラクターにも世界にも注目することができたのですが、今回は「ネット」という広大でテーマに溢れすぎたものを題材に選んだせいか、それぞれのトピックスが薄く、それぞれの関連性が今ひとつ。浅く広い作りになってしまったかなぁ…という印象。

前作と同じ物を求めると肩透かしをくらうかもしれません。しかしながら時を越えてまた元気な二人に出会えたのは正直うれしいw また次回作で幸せそうな姿を見せてくれることを期待して筆を置きたいと思います。

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