[脚本] 洗浄の中に ~それは祭りの中に~

 高校3年生のころに、同じく3月の公演に向けて書いた作品。他に上演したかった作品があったためお蔵入りになりました。序盤は元気の良い生徒会物かと思わせつつ最終的にSFセカイ系展開になります。読み直すとこの人頭おかしいのかな?と震えますが好きな人は好きかもしれません。
 初版の時点では「ザンギエフ」という名前の犬が登場し途中で死んでしまうんですが、名前を叫びながら悲しむシーンでは読み合わせのとき全員笑いが止まらず練習が中断したのは良い思い出ですw

概要

作者
勝部麻季人
キャスト数
男6人 女1人
上演時間の目安
60分
あらすじ
「このまま高校生活を終わらせてたまるか!」お気楽三人組の生徒会員が繰り広げるドタバタ学園風SFストーリー。学園祭の実行委員の彼らが次第に気づいていく"本当の祭り"とは? 学校、先生たちに何か疑問をいただいた事ありませんか?その答えがココに!

本文

第1場 オープニング


イヴ   前略 お元気ですか?
        突然こんな手紙を書いてしまってごめんなさい。
        驚かれたことだろうと思います。
        何年も連絡を取ってなかったんですからね
        あなたに最後に会ったのはいつでしたでしょうか・・・・・・。
        その後、お変わり有りませんか?
        私は・・・・・・私は正直何を目的に生きているのか分からなくなってきました。
        信じる人がいますか?本当の気持ちを話せる人がいますか?
        その人を・・・・信じられますか?
        この冷たくも、暖かくもあるこの世界で、
        私たちは、何を糧に、時間という、一生という
        長くも、短くもあるこの世界で生きているのでしょうか
        辛くても心にしまい、言いたいことも言えない
        もし言ってしまったら、全てが壊れてしまいそうで
        私はこんなあやふやな世界で生きています
        いつか壊れてしまうんじゃないかと思いながら生きています
        そこにはない、存在しない何かを信じて、信じようとして精一杯
        生きています。
        私は・・・・・最後の決断を下さなくてはならないのでしょうか。

二階堂 なぜ、月は出来たのでしょうか。そして、人間はどうやって生まれたのでしょうか。
        すべては地球が生んだこと。寂しさに耐えかねた地球がしたこと。
        しかし人間は裏切り続けてきました。
        そして地球は審判を下そうとしています。
        彼らに最後の望みを託して・・・・・。

第2場 宣戦布告


    職員朝礼にて、セミが鳴いている

先生A 私は反対ですよ。何考えてるんですか。
        今まで彼らが何をしてきたというんです。
        ただ、例年通り同じ事を繰り返してきてるだけじゃないですか。
        私が来たからには
先生B そうはおっしゃりますがね、先生。
        もう、どこの学校もこんなんですよ。
先生C 第一、生徒にやる気がなければしょうがないでしょう。
先生A そんなことだから、ますます荒んでいくんじゃないんですか!
先生B 仕方のないことですよ。
先生A 仕方ない?私はその仕方のないと言う言葉が大嫌いでしてね。
        それを言うのは大抵何もせずに傍観していた者が言う言葉ですよ。
先生C じゃあ、どうするんですか?
先生A とりあえず、今度の学園祭を、変えて見せましょう。
        差し当たって、今日の生徒総会でお見せしますよ。
        私の腕前をね。楽しみにしておいて下さい。
        今までのように、生徒会というほとんど形だけの連中が
        何となく作ったものとは違うというところをね。
        はっはっはっはっは!!!

    場転・「はっはっはっはっは」にかかるようにラジオ
    生徒会室


ラジオ 今日未明、不思議な光が全国各地で観測されました。
        東から西の空を通り過ぎていくこの不思議な光に各地の天体観測所は困惑している模
        様です。続報が入りしだいお伝えいたします。
        引き続きまして・・・・・・。

    ラジオが流れている間、黙々とダラダラしている(笑)
    辻本と飯塚。そこへ誠が入ってくる
    適当なところでラジオFO


誠     大変だ!辻本!!
辻本   何だ、誠。血相変えて。
飯塚   何かあったのか。
誠     今度赴任してきた先生がいたろ、あの、生徒会担当の!
辻本   ・・・・・・誰だっけ?
飯塚   ほら、あのすごい頭の。
辻本   あ、あのアフロとモヒカン足して波平で割った奴。
飯塚   それは、磯野さんに失礼だろ
三人   はっはっはっは!!
辻本   で?
誠     そいつが、この生徒会を乗っ取るって、今朝の職員朝礼で言ったらしいんだ。
辻本   へえー、
誠     「へえー」じゃなくて、少しは危機感感じろよ。
       辻本、お前、生徒会長だろ。
飯塚   良いんじゃないの。今までだってそんなこと言ってた先公なんてけっこういただろ。
       でも、結局口先だけだったじゃねえか。
誠     飯塚、お前なあ。でも、今度は本気らしいぜ。何でも、今日の生徒総会でどういう方針
        でいくか発表するらしい。
飯塚   ご苦労なこって。
誠     飯塚、お前は会計だから、こういう事にはあんまり関係ないように聞こえるかもしん
        ねえけどなあ。
飯塚   だって、めんどくさいじゃん。そんなのマジで考えるのなんて、適当にそこいらの先公
       にまかせときゃいいじゃねえか。
       それにせっかくその新任の先生様がやって下さるってんだからさ。
誠     おまえなあ
辻本   誠、お前、副会長だからってそんなに責任感じることないぞ。
       それに、オレ達はこの生徒会を三年間やってきたんだ。この学園祭を企画する度に
        感じてきたろ。どんなに頑張っても結局は在り来たりの物になっちまうんだ。他の生
        徒にやる気がない。やる気があっても、頭の固い先公ばっかりで好きなことは出来な
        いんだからさあ。
誠     責任とかそんなこと感じてるんじゃないんだ。
       だって、オレ達もう三年生だろ。これが最後なんだぞ。
飯塚   何だ、お約束か。最後だからオレ達に出来ることを精一杯やろうとか言うんじゃない
        だろうなあ。
誠     違う!オレが言いたいのはさあ。
        このまま、卒業しちまうってことは、彼女の居ないまま高校生活を終えてしまうかも
        知れないって事だよ!!!
二人   はっっ!!!!!
飯塚   そうだった。このままじゃあ、どっかの漫画のような悲しい学園生活
       を男の中で送ってきたことになるのか。
辻本   そうだよな、ここ御統工業高校は、共学という名の男子校だもんな。
飯塚   誠、ありがとう、大事なことに気付かせてくれて。
辻本   この生徒会に入ったとき3人で誓ったもんな
三人   「せめて学園祭にはどっかの高校の女子を呼んでスキあらば彼女にしてしまおう」っ
        て。
辻本   あやうく、忘れるところだったぜ。ホントありがとう誠。
誠     分かってくれたか
飯塚   ああ、こうなったら、何がなんでもその先公の言いなりに何かならねえぞ。断固、おれ
       達の目標を貫くぞ!!
三人   おー!
誠     じゃあさ、まずは何する?
飯塚   とりあえず、企画を立てないと
辻本   そうだな。・・・そういえば、この間、企画書作らなかったか。
飯塚   ああ、おれ、いなかったから。見せてくれよ。
誠     あ、オレ探すわ
飯塚   おう、たのむ。
誠     ・・・・ええと、あ!
辻本   あったか?
誠     ええ、と。ああ、これだろ。
飯塚   じゃあ、初期の企画を読んでみましょう
誠     待ってました!!
辻本   よ、日本一!!
飯塚   おまえら、オヤジじゃねえんだからさ。ま、いいか。じゃ、読むぞ。
       学園祭統一テーマ[GO!GO!HEAVEN!!]
       主旨「みんな、天国に行くかのような気持ちの良い学園祭にしたいです」
       内容「ないよう」
       って、ふざけてんのかああああああ。
辻本   ふざけてるんだろうなあ
誠     うん、ふざけてる・・・。
飯塚   そうか、ふざけてるか、そうか、そうか
辻本   めでたしめでたし
3人   はっはっはっはっはっは(越後の、ちりめん問屋風)

    照明FOすると、みせかける

飯塚   めでたくない!!
       あんたら、こんな企画で先公納得させれると思ってるの?
辻本   なんか、お前、どことなく、いやみなOLになってるぞ

    3人OL(オフィスレディーの方ね)になる

飯塚   ちょっと誠子さん、聞いてるの?
       あなた、こんな企画が通ると思ってるの?え!
誠     え、そんなこと言われても、誠子こまっちゃう
辻本   ふははははははは
飯塚   ツジモ子さん、そのいびき止めなさいって何回言ったら気が済むのよ
辻本   なんで、おれ、じゃない私だけ名前に無理が有るんですか?
飯塚   そんなこと気にしなくて良いの!!
誠     でも、その企画、はっきしいって、適当に決めたっていうか、
       別に私賛成してないし、勝手にやればいいとおもいまーす
辻本   そうよね、ツジモ子もそう、思うわ!このたこ焼き芋おばん!
飯塚   きーーー、誰がたこ焼き芋よ、だれが(しかし、なつかしいネタ使うわねえ・・・。)
誠     そうよ、そうよ、あんたなんかそのすみーーーこで
       大根でも作ってればいいのよ
飯塚   きーーーーーーーーーーーーーーーー!!
       いったわねえ、あんたなんか、あたま「ズワイガニ」じゃない!
       え!あんたにいたってわ、全身「ワオ・キツネザル」じゃないの。
       エアコンのCMやってりゃいいのよ。
辻本   いつの時代のCMよ、あんたこそ太陽の棟のモデルなんじゃない
誠     ツジモ子さん、あんたも、古い。
飯塚   もう、やってられないわよ

    3人、元に戻る

飯塚   何考えてるんだよ。ったく・・・。
誠     ほんとよねええ
辻本   いいんじゃないのお。
飯塚   もう、いいんじゃああ!!やめろおおおお!!!
誠&辻本 ちぇ!
飯塚   ちぇって、あんたら・・・・。
       まあ、何はともあれ、オレらが実権をにぎらにゃ話にならないだろ?
       とりあずはまともな内容を立てて、先公を納得させる。
       その後で自分たちなりにアレンジしていく。
       さしずめ、その新任教師対策としてなにか、こー、説得力があり、
       なおかつ、重厚なテーマが有れば・・・・、
3人   うーーーーーーん

    ポクポクポクポク、ぴーーーん!

誠     なあ、結構前から、いじめとか騒がれてるだろ
飯塚   あー、とりあえず「いじめ」と(黒板に書く)
辻本  「学校」の、あり方についても疑問が最近浮かび上がってるらしいぞ
飯塚   なるほどな、他には
誠     重いって言うんだったら、「人権」とか「差別」とか
飯塚   うーーん、いいこというねえ
辻本   究極の所では「戦争」とか、「命」だよな
飯塚   さすが、生徒会長だね。言うときゃ、言うね。
       まあ、こんなもんでいいだろ。この中から、いくつか絞り込んで・・・・
声     ええええええええええーーーーーーーーーーーーー!!
3人   !?
誠     な、なに!?

    3人の後ろに一人の少年のシルエットが

声     そんなことじゃあ、本当の学園祭とは、いえないな!
       はっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!
三人   だ、誰だ、お前!!

    全員ストップモーション
    黒子「続く」の看板
    時間が許せば、次回予告を

第3場 思い出遊戯


    この思い出遊戯では誠達の少年時代を演じる
    小学校3、4年生程度だと思って頂ければいい

声     祭りの日だからってあんまり遅くまでいるんじゃないよ。
誠     分かってるよ
声     知らない人について行ったり、知らない所へは行くんじゃないよ。
誠     分かってるって

    外から

飯塚   まこっちゃーん!!
誠     あ、トモチャンだ。今行くよ!
       じゃあ、そういうことだから、行ってくるよ
声     あと、山の奧には、行くんじゃないよー!!
誠     わかったーーー!

    誠が外へ出ます

誠     今日は、年に一度の町のお祭りの日。
       山に囲まれたこのちっぽけな町では、唯一の大イベント。まだ小さかった僕らにと
        っては、数少ない楽しみの一つだったのだ。普段何気なく暮らしている町が、この
        日ばかりは祭り一色となる。
        そこで、クラスの飯塚、このころはまだ、トモチャン(知夜だから)って 呼んでた
        っけ、それと、辻本征之助ことセイチャンと三人で行くことになったんだけど・・・、
飯塚   まこっちゃあーん!早く!
誠     ごめん、ごめん。あ、セイチャンは?
飯塚   もうすぐ来ると思うけど
辻本   おーい

    遠くから辻本が現れます。
    バニーガールの姿で

辻本     お待たせ

    言葉のでない二人

辻本   (自分の姿に気づき)あ!このまま来ちゃった!
       父ちゃん酒癖悪くてさあー、はははははは。いつもこんなん・・・。
三人   あははははははは(汗)
辻本   ちょっと、まってて、今着替えてくるから(一時退場)
誠     いろいろ、大変なんだね・・・・・、
飯塚   そうだね・・・

    明日を見つめる二人

辻本   おまたせーー、
誠     じゃあ、行こうか
飯塚   そうだね

    と、歩きながら無邪気な話題で盛り上がります。
    しばらく歩いていると、祭の音(雰囲気)が聞こえてきます

誠     ねえ、ねえ今年もあのおばちゃん来てるかなあ。
飯塚   あの曲芸ばあちゃんだろ
辻本   面白かったよなあ、去年。今年も、

    その時近くの茂みから「がさがさ」
    音が聞こえてきます

辻本   なんだ?
誠     やめなよ、セイチャン。
辻本   大丈夫だって。

    三人が近寄ると、

飯塚   あ、逃げた!!
辻本   行ってみよう!
誠     でも・・・
辻本   大丈夫だって、それに、気になるじゃないか
飯塚   まあ、それ確かめてから祭りに行っても遅くないって。
誠     ・・・・・・・・でも。
辻本   ほら、行くぞ!
飯塚   置いてくぞ、まこっちゃん
誠     あ、待ってよー!

    三人とも走り出します

誠     僕たちはこの時まだ知らなかった。これが全ての始まりであることを、
       そして、全ての終わりであることを・・・・

    場転

第4場 新たなる旅立ち 


3人   だ、誰だ、お前!!
二階堂 名前なんてどうでもいいのさ、今一番大事なのは学園祭のことだろ
3人   ・・・・・。
飯塚   (ぼそぼそ)きっと、人に言えないような名前なんだぜ。
辻本   (ぼそぼそ)マッハ小杉とか
誠     (ぼそぼそ)エイジョリアンとかさあ、
二階堂 こら、こら、そこ。
辻本   おい、マッハ、てめえ誰なんだよ。人ん家に勝手に上がり込んで!!
誠     人ん家って、あんた・・・
二階堂 誰が、マッハだ、誰が!!
飯塚   でもまあ、名前無いと呼びずらいしな。
二階堂 じゃあ、・・・二階堂でいいや
辻本   で、マッハ。さっきのことだが、何でなんだ?
二階堂 (汗)ま、まあいいや。で、何でかって?
        そんなん決まってるでしょ。それ、つまんなそう。
飯塚   つまんなそうってお前なあ。こっちの身にもなってみろよ。それに
        こういう、つまんない企画じゃなけりゃあ通る見込みが薄いの!!
誠     そうなんだよなあ、有名人呼ぼうにも予算が出ないし、本格的な商売をしようと思う
飯塚   「そうゆうのは、教育の本分に外れるんじゃないのかね。」
誠     とか言われるし、手作りで何かしようにもどうせ生徒の面倒くさいってのが出てくる
        だろうから結局たかが知れてるし。
飯塚   「授業をつぶしてやるんだ。文化祭という位なんだから、もう少し文化的なことをした
       らどうかね」んーな事してたら、だーれもやらんっちゅうの。
辻本   漫画の世界のようにはいかねーんだよ。分かったか?
二階堂 おい、おい、おい、おい。それじゃあ、何のための学園祭だ。
       何のためにやってるんだ。せっかくの祭なんだからさあ。もっとぱあっと
       派手にいくもんじゃないの?
辻本   さてはお前一年だな?
二階堂 え、あ、うん。
飯塚   どーりで。
誠     知らないってのは幸せなことなのかもな。
二階堂 え、どーいうこと・・・

    ミュージカル風に

3人   ♪ここは、工業高校だぞ。
二階堂 ♪へ?。
3人   ♪男ばっかりなんだぞ。
誠     ♪そんな空間で燃えれるか?
飯塚   ♪女有っての男だろ?
辻本   ♪放課後に、文化祭の準備とかこつけて、
飯塚   ♪そう、それは、口実、正当な口実
3人   ♪らららーーー(さわやかに)
誠     (台詞)ねえ、なんでみんな帰っちゃうのかなあ。二人きりでこんなことさせるなん
       てねえ。
飯塚   ♪でも、
辻本   ♪心うきうき、心わくわく!
誠     ♪若い男女が見つめあい、
飯塚   ♪見つめ有ったら高鳴る鼓動
辻本   ♪押さえれるか、押さえれるかーーーー!!
3人   ♪ちゅわああああああああ!!!(ファンタスティックに)

    呆然とする二階堂

3人   と、いうわけだ。
二階堂 でもさあ、それにしたってそんな企画じゃあねえ。
辻本   分かったような口きくんじゃねえよ。オレらだって、何も考えてないわけじゃな
       いんだ。今年はな。
二階堂 へ?
飯塚   まずはこの企画を通しオレら生徒会が主導権を握る。
誠     そうしたら今度は、企画を少しずついじり、オレらの良いようにする。
辻本   そこで足場が固まったら、どこかの高校にアプローチをかけて合同で
       学園祭を行う。
3人   どうだ!!
二階堂 ふっふっふっふ。
3人   なんだよ!
二階堂 あなた方は3つのミスをしています。
3人   なに!!
二階堂 1つめに、その企画が通った時点で生徒のやる気がどん底になるでしょう。
       一度どん底になった状態から復帰させるのは難しいと言うこと。
飯塚   しかし、それは合同開催のはなしで盛り上がる・・
二階堂 果たしてそうかな?
飯塚   どういうことだ!!
二階堂 あなたのいうことはもっともだ。確かに合同でできれば、盛り上がるかもしれ
       ません。しかし、それも、できればの話だ。
辻本   どういうことだ!!
二階堂 ふふ、二つ目に今は7月という事です!!
3人   あ!
二階堂 7月にもなればどこの高校もある程度のプランはたてているはずだ。いくらアプロ
       ーチしても、OKを出す学校が果たしてあるとお思いですか?みなさん!!!
3人   く!!
誠     しかし、万が一にもあるかもしれないじゃあ・・
二階堂 3番目に、うちが工業高校ということです!!
3人   何ーーーー!!
辻本   ってなんだよそれ!!
二階堂 つまり、日頃の行いが物を言うのですよ。つまり
3人   つまり?
二階堂 工業と言えば、「柄悪い」「暑苦しい」「ほも」
       このレッテルをどうする気ですか?みなさん!!

    がっがーーーん!!

辻本   ちくしょー!!
飯塚   そんな、そんな。
誠     このまま、終わってしまうのか、おれのセブンティーン!!
二階堂 まあ、そういうわけだからさ・・って、

    隅っこでいじけてる3にん

二階堂 おーい、みなさーん。
誠     いーんだ、どーせ。
辻本   ・・・おわった。オレの青春って一体。
飯塚   後、半年は男まみれか。
3人   はあ、(ふかーーーーーーい溜息)
二階堂 だーーーー、人の話を聞けーーい!!
飯塚   一年坊に何が分かるってんだ!!
二階堂 もう、なんで気がつかないかなあ。

       有るんだよ、一つだけ。女の子をこの学校に呼ぶ方法が!!

飯塚   なんだよ
二階堂 聞きたい?
3人   もったいぶるんじゃねえ

    3人、常人では考えられないような方法で二階堂を
    攻める。

二階堂 死ぬ!死んでしまう!!あんたら、目がバーサーカー!!
飯塚   いえーーーーー!
二階堂 いう、いいます。(放してもらって)はあ、死ぬかと思った。
辻本   で?
二階堂 それがさあ(耳打ち)
3人   あ、なるほど。
誠     なんで気付かなかったかなあ。
辻本   でも、これはこれで難しいような気もするが。
飯塚   しかし、みなさん。我々に残された手段がこれしかない以上は
3人   やるしかない!!

    黒子「またしても続く」の看板
    時間が許せば次回予告を

第5場 思い出遊戯2


    まだ走っている三人

誠     ねえ、休もうよ。はあ、はあ。

    立ち止まる三人

辻本   そうだね、はあ、はあ。
飯塚   もう、真っ暗だね・・・・。

    辺りから聞こえてくる木々の揺れる音
    時折聞こえてくる鳥や、虫の鳴き声

誠     ・・・・・、ね、ねえ。ここどこかなあ。
辻本   ・・・どこだろう。
飯塚   はあ、はあ、はあ、はあ。
誠     ともちゃん?大丈夫?
飯塚   ちょっと、疲れただけだから・・・。(息を切らしている)
誠     ねえ、セイチャン、そろそろ帰らない?
辻本     ・・・。
誠     おれ、母ちゃんに山の奥には行くなって言われてるしさあ。
       いいじゃない、もう。早く祭りに行こうよ。
辻本   そうだね、そろそろ帰ろうか。
飯塚   (苦しそうに)う・・あ・・・。

    倒れる飯塚

二人   ともちゃん!!
辻本   すごい熱だ・・・。
誠     僕、人呼んでくる。

    誠行こうとするが

誠     どう、行けばいいんだっけ?
辻本   ・・・・・・。

    カラスの鳴き声が響きわたる中場転

第6場 僕らの一番したいこと 


    カラスの鳴き声FOと共にラジオFI

ラジオ 今日未明確認されました発行物体について天体観測所の公式見解が発表されました。
       天体観測所は只の人工衛星だとの見解を示しています。それでは先ほど行われました記
         者会見の模様をお送りします。
       「寿命が来た人工衛星が重力に引きつけられて落ちてきてるんでしょう。あのサイズ
        では大気圏で燃え尽きますよ。心配いりませんよ。」
       と、五所川原天体観測所の所長のインタビューでした。
       引き続きまして・・・・・・・・。

    ラジオFO

飯塚   つまりだ、簡単に説明するとだなあ。
       まず第一に、日程の調整だ。他の学校の学園祭とダブらないように日程を
       調整する。その時大事になってくるのが曜日だ。これを金土日の三日間に
       なるようにする。
誠     先生質問!!
飯塚   はい、誠君。
誠     なんで、金土日なんですか。
飯塚   いい質問ですね。さて、この学園祭というのはどういう風になっているかというと、
       一日目にはまずセレモニーを行います。これはようするに
       儀式的な物のためさして我々の計画には関係ないのです。そこでここは平日になるよ
        うにします。ちなみに、この日に2日目、3日目の準備もできるのです。
       そして、大切なのがこの後、2日目の文化祭、3日目の体育祭なのです。
二階堂 ハーイ、質問質問!!
飯塚   はい、二階堂君
二階堂 文化祭や、体育祭ってどんなことするんですか?
飯塚   はい、では説明しましょうか。例年やっているのは、文化祭では全員参加の、これは強
       制なんですが、全校生徒集めて何かします。最近は映画鑑賞が多いですね。その後、
        出店や各種展示、ロックコンサート、生徒会で何か企画したのをワンイベントと、い
        ったところでしょう。
二階堂 ふーん、他の学校はどんなことしてんの?
飯塚   まあ、たいしてどこも似たようなことをしていますね。
       他の職業高校はそれぞれの特性を生かしたことをしているところもあるみたいなので
        すが、工業では文化祭にいかせることが少ないっと生徒は思ってる。
       だから、展示とかに収まっちゃうんですよね。
二階堂 で、体育祭は?
飯塚   はい。これも例年通りの競技を行います。工業というのは大体体育系が強いため、
       そっちのほうの教員の支配下に置かれてしまい、こっちの好き勝手出来ない状況にあ
        りました。
二階堂 なんで新しいことが出来ないんですか?いい企画たてればいくら先生が強くても・・
飯塚   あまいですねえ。確かに斬新な企画というのは引かれますが、ここで
       「あまりに斬新だと私たちがどう、動いて良いのか分からないのだよ」
       という意見が出てそれで全員が納得してしまうという、なんとも馬鹿げた
       事になりました。つまり、教員も「めんどくさい」「つきあってられない」というこ
        となのです。そういう点から斬新なことが出来ないのですよ。
二階堂 ほんと、馬鹿げてるなあ
飯塚   そのとおり!!すごく馬鹿げてるんですよ、この「学校」といのはね。
辻本   先生!論点が大分ずれてまーす!
飯塚   これは失礼。それでは話を戻しましょう。それではまとめに入りますよ。
       つまり、他の学校と日程がダブらないようにする。
       学校を一般開放する。
       土日にメインを置くことで一般の人も来やすくする
       人の目を引くような魅力的な学園祭にする
       簡単にいうとこうですね。分かりましたかー?みなさーん!!
全員   はーーーい!!
辻本   しかし、日程と、一般開放については前から話があったから何とかなるけど、
       問題は一番 最後なんだよなあ。
誠     そうなんだよなあ、只でさえ入りにくいこの工業に自ら入ってもらうんだからさあ、
       よっぽどの事しないとねえ。
飯塚   そう、そこが一番のネックなんだよな。
誠     結局また、振り出しに戻ったって心境だな。
3人   うーーーん

    しばし考える

二階堂 そんな、難しく考えること無いよ。それに下手に作戦立てたんじゃあ、ホントに人
        の気持ちってのは動かないよ。やっぱりさあ、今自分たちが一番やりたいことをして
        みたらいいと思うよ。頑張ってる姿ってさあ、すごく引かれるじゃない。
        だから、今一番自分たちががんばれることをすべきだと僕は思うな。
辻本   そういやあさあ、オレ前からやりたいことがあったんだよな
飯塚   ん?
辻本   学園祭って言ったらさあ・・・・・・

    等と3人で話が盛り上がる

辻本   何やってんだよ、誠。

    誠、本を見つめている

誠     なにか、忘れてる様な気がするんだよ。
飯塚   忘れてる?
誠     うん。何か、こう、大事なことを。
飯塚   何だよ、それ。
辻本   まあ、いいじゃねえか。それよりさあ、

    再び盛り上がる3人
    3人の声FO
    二階堂にスポット

二階堂  お手紙有り難う。正直なところ、たいへん驚きました。
       が、大変懐かしくも感じました。お元気そうで何よりです。
        私も、この世界で長い間、そう長い間生きてきました。確かに今の社会は
       ギスギスしています。しかし、私はもう少し見守ってみようと思います。
       そんな人間ばかりではないことをこれまで何度か目にしてきましたから。
       又今度お会いしましょう。それでは、体に気を付けて。

    スポット消える

第7場 思い出遊戯3


    誠と辻本で飯塚を抱き抱えています

誠     ともちゃん?ともちゃん・・・・・。
辻本   ・・・・・死んでる・・・。
誠     え?
辻本     ・・・・・・・・・・・・。

    凍り付く場

誠     嘘でしょ?、う・・そ・・でしょ・・・・・。
辻本     ・・・・・・・・・・・・。

    ドサッと飯塚を地面に落とします
    辻本後ずさり

辻本    うそさ。そう、うそさ、こんなの嘘に決まってるんだ。
誠     うわ、うわあああああああーーーーーーーー!!

    二人走り出します。

誠     僕たちは走りました。辺りは一面の闇。何度転んだことでしょう。
       しかし、僕たちは何かにとり憑かれたかのように、走りました。
       走っていなければ、思い出してしまう、走っていなければ現実に戻ってしまう、今
        走っておかなければ、夢から醒めることは出来ない。そう、夢から醒めるために、
        僕たちは今走っていました。
辻本     うわ、うわああ

    転ぶ辻本
    がけから落ちそうになっている

誠     せいちゃん!!

    誠、辻本の手をとり引き上げようとしますが

誠     く、ううううううう
辻本   あ、やだ、死にたくない、死にたくないよ。誠、誠・・・。
誠     ・・・せいちゃん。

    ガク

辻本   うわ、うわああああああ
誠     せいちゃんーー!!!!

    誠、泣きながら、その場にうずくまり
    しばらくして辺りが明るくなります
    波の音、ウミネコの鳴き声
    誠、気がつくと一人でポツンとたっています

誠     ここは?

    その時遠くから歌のような物が聞こえてきます
    そこへ近づいていきます

二階堂 気がついたかい?
誠     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

    恍惚とした表情の誠
    場転

第8場 決戦は水曜日!!


    生徒総会

誠     それではこれより、「平成○年度第一回生徒総会」を開催します。それではまず、
        辻本生徒会長より本年度学園祭の概要を説明いたします。

    壇上に上がる辻本

辻本   コホン!それではまず今年のメインテーマですが・・・。
先生A チョット待ってもらおう。

    壇上に上がる先生A
    生徒「ガヤガヤ」

先生A 学園祭について、生徒会は顧問の指導の元行うこととなっている。残念ながら今回、
        この顧問である私に今回の学園祭の企画書の提出がないまま、この場を迎えたわけ
        であります。これは私の監督不行届であります。が、この場で今年の学園祭の有る
        べき道をとらなければならないのも事実。そこで今回は、とりあえず、顧問である
        私からの提案と、この生徒会の提案の二つを示し、もう一度会議にかけ・・
辻本     チョット待ってもらおうか!!

    生徒「ガヤガヤ」

先生A なんだね
辻本   え?さっきから聞いていれば訳の分からないことを言いやがって。
先生A 何を言ってるんだ、
辻本   ええい、大体、企画書は提出しただろうが!
先生A ああ、いくら私に見せても、承認の印がなければ出してないのと同じなんだぞ。
辻本   なに!?
先生A 悪いようにはしないから、ここは先生の言うとおりに・・
飯塚     チョット待ってもらおうか!!

    飯塚、壇上へ

先生A な、何だお前!?
飯塚   貴方の良いようにはさせませんよ。
先生A なに!?
飯塚   貴方がこの生徒会の実権を握ろうというのを小耳に挟みましてね
先生A 誰だ、お前は!関係のない奴は・・
飯塚   関係がない?これは、これは。私は会計委員長の飯塚ですよ。
       皆さん、私たちが今年度企画しているのは、「自由」です。
       これまでより、もっと好き勝手出来るのです!私たち執行部が3年間培ってきたアイ
        デアと腕で、必ず学園祭を成功させて見せます。
       ですから、この先生まがいの言うことを聞いてはなりません!!
先生A ふん、何を言い出すかと思えば。
飯塚     ・・・・・・・・・・。
先生A よく聞くんだ。確かに好き勝手出来ればそれはそれで楽しいかもしれん、だがそれ
        で本当に「学園祭」と言えるのか?好き勝手したいのならどっか他でいくらでも出来
        るだろう。「学園祭」なのだから、オレらはあの時こういうことをしたぞという、後
        で誇れることをすべきじゃないのか?遊ぶだけだったら、好き勝手するだけだったら
        いつでも出来る。ここでしか、学校でしかできないことをすべきじゃないのか?
飯塚   ふふふふふふふふ。
先生A 何がおかしい!!
飯塚   そういう演説を待ってましたよ。
先生A なに?
辻本   いくら顧問といっても、全校生徒の決定には逆らえないでしょう?
       2/3以上の賛同があった場合、その案が最優先される。
先生A それが?
飯塚   生徒手帳貸しましょうか?
先生A それがどうしたといってるんだ!!
飯塚   貴方の意見と私たちの意見。さて、どちらが多いでしょうかね。
先生A !! 
辻本   誠!
誠     それでは、只今執行部より出されました案に賛同するという人は手を上げて下さい。
       各クラスの代議員の人はクラスの人数を数え、私の所まで報告に着てきて下さい。
飯塚   引き立て役有り難うございました。民主主義ですからねえ。ふふふ。
先生A く!
誠     結果が出ました。全校生徒数952人中、賛同820反対132により
       執行部の案が可決されました。これにより本年度の学園祭は生徒改案を元に作成し
        ます。
辻本   あんた達のやり方には飽き飽きしたということさ。
先生A お前ら、後悔することになるぞ!!
飯塚   なにを寝ぼけたことを
先生A おれがお前らの気持ちも分からずにああいうこと言ってたと思うのか?
辻本   分かってなかったからこういう結果になったんだろう!!
先生A 誰かが言わなければならないことなんだ、これは。そう、秩序を守るためにな。
飯塚   秩序?
先生A 経験だよ。どうせ、いい加減な物を作るつもりなんだろう?
飯塚   いい加減かどうか、何でそんなことが分かるんだ
先生A 今の学校は生徒も教師もいい加減だろう?
       昔のように本音で話し合えなくなってきてる。それが生徒同志でもだ。確かに、
       壁を築いて一歩向こうから接していればお互いに傷つかないのかもしれない。だが、
飯塚   よせよ、格好悪いぜ。それに、あんたのそんな詭弁に付き合うつもりはないんだ。
先生A まあいいさ、お前らの思うとおりにやってみるが良い。
飯塚   ふふ、残念でしたね、先生。
二階堂 うん、本当に残念だ。
辻本   二階堂!?

    消える生徒の「ざわざわ」
    それが逆に恐いくらい

飯塚   二階堂!?
辻本   お前何でこんな所に・・・。
誠     大変だ!!
飯塚   どうした?
誠     さっきニュースで

    ラジオFI
    ストップモーション

ラジオ    先ほど政府より緊急記者会見が行われました。その模様をお送りいたします。
        「今日昼過ぎに発表された、人工衛星についてです。本来落下してきた人工衛星は
          単体でそのまま大気圏に突入、燃え尽きるものと思われていましたその人工衛星が
          ほかの人工衛星、そして衛生軌道上にあるスペースデブリ、つまり我らが宇宙開発
          のために出したゴミ、廃棄物のことです。それらと合体していることが判明しまし
          た。」
       「どういうことなんですか?」
       「ハッキリ言ってください」
       「現在では大きさが直径2キロに及び、巨大な隕石の様になっています。
         断言は出来ませんが、このままだと地球に衝突するものと思われます」
       「つまり、我々は恐竜のように絶滅すると」
       「断言は出来ませんが」

    記者達の「何だって」と言う感じのざわめき
    ラジオFO

第9場 思い出遊戯 〜LAST EPISODE〜


誠     だれ?
二階堂  「だれ」か。難しい質問だな。そうだな・・・うーん。

    考え込む二階堂

誠     何で悩んでんの。自分のことでしょう?
二階堂 自分のことだから難しいんだよ。自分のことが分かってる人間なんてそういるもん
       じゃないよ。
誠     よくわかんない。
二階堂 ははは、そのうち分かるさ。
誠     そのうちって?
二階堂 さあ、ねえ。ふふふ。
誠     ・・・・・。

    波の音

二階堂 結局死んでしまったのかい?君の連れは。
誠     (はっとする)・・・・・・・・・。
二階堂 良かったじゃないか。
誠     え
二階堂 もう、これ以上苦しまないですむんだよ。彼らは。
誠     え、あ
二階堂 死んで良かったんじゃないのか
誠     でも、でも
二階堂 でも?
誠     ・・・・・・・・・・・。
二階堂 夢に破れたとき。悲しみを味わったり、人を憎しんだり。
       そんな事から解放されるんだ。良いことじゃないのかい?
誠     でも、やだよそんなの。もう、もう会えないの?もう・・・・。

    泣き出します

二階堂 好きだったのかい?彼らのことは。
誠     うん。
二階堂 一回だけ、チャンスをあげよう。
誠     え
二階堂 生き返らせてあげようか?
誠     え、ほんと!?
二階堂 ホントだとも。ただし
誠     ただし?
二階堂 約束をしてくれ。
誠     約束?
二階堂 そう、約束それは

    大事な部分が波の音で消えてしまいます

誠     え、なに?
二階堂 それでもいいならもう一度会わせてあげよう。
誠     ・・・・・もう一度会えるなら。もう一度会えるなら!
二階堂 そうか、でも、かならず、守ってくれよ。そうでないと

         世界が、世界が終わってしまうんだから。

誠     え?


    「歌」が聞こえてきます
    徐々に明るくなる舞台、ハッキリと聞こえる「歌」
    優しく、懐かしい「歌」
    それは地球を母なる大地を海を連想させる
    眩しいくらいの舞台

    場転

第10場 祭 〜洗浄の中で〜


    叫び声が響きわたっている
    先生Aはいない

声      「うわあああああ」
声     「きゃあああああ」
声     「助けてクレー」
声     「ひいいいい」
声     「どきなさいよ!!」
声     「邪魔だてめえ!!」

    逃げまどう生徒

二階堂 逃げてももう遅いのに。この地球の上に逃げ場はないのだから。
誠     二階堂、おまえ、おまえ!
二階堂 思い出したようだね。懐かしいよ。誠君。
辻本   誰なんだお前は!!
二階堂 言ったはずだ。終わるんだよ、世界が。
飯塚   おまえ、何者だ
二階堂 「アダム」
誠     アダム・・・?
二階堂 そう、もう一つの地球「アダム」
辻本   は?頭大丈夫か、お前?
二階堂 せっかくチャンスをあげたというのに。又洗い流さねばならぬとは
誠     あの隕石(?)はお前が
二階堂 まもなく、地球によって強力な磁気を当てられた人工衛星が星となり落ちてくる。
       そうなればこの世界は2度目の崩壊を迎える。いや生まれ変わると言ったところか。
       長かった・・・。うん億年もの時を待っていたというのに。
       今度こそは成功したと思ったのだが。
辻本   おい、誠。お前何か知ってるのか?おい!!
誠     たぶん、こいつの言ってることはホントのことだよ。
       二人とも一回死んだんだ。それをこいつに生き返らせてもらった。
二階堂 そう、君たちは一回死んだんだ。それを僕が生き返らせたんだよ。
飯塚   お前は・・・。
二階堂 君たちが失敗作かどうか見極めるために、洗い流すかどうか判断するために。
誠     僕たちは死ぬのか?
二階堂 君たちしだいさ。後10分ある。
誠     え?
二階堂 賭は僕の負けのようだよ「イヴ」。・・・・・・さよなら。

    立ち去ろうとする二階堂

誠     二階堂!!

    立ち止まる二階堂

二階堂 君たちは、なんのために祭をしたかったんだ。
飯塚   何のため?
辻本    ふ、そうだな、オレ達は、「自由」が欲しかったんだ。
       こんな「学校」にうんざりしていたんだ。せめて一日くらい「自由」
       が欲しかったんだよ、だから!!
二階堂 だから、世界は滅びるんだ。もう一度、洗い流さなければならないんだ!
辻本   お前一体何者だよ。滅びるとか、洗い流すとか、わけわかんねえよ!
二階堂 君たちは、どうやってこの地球が出来たか知ってるかい?
       どうやってあの月が出来たのか知っているのかい?    
       君たち、人間がどうして造られたか知っているかい?
飯塚   つくられた?
二階堂 僕は、もう一つの地球「アダム」。
誠     地球って? 
二階堂 寂しかったんだよ、地球は。誰も居ないこの空間に耐えられず、
       体の一部を使い、もう一つの星を造ったんだ。それが、
飯塚   月?
二階堂 (うなずく)けれども、月は自分でしかなかった。そこで地球は造ったんだ。
誠     僕たちを
二階堂 地球は、祭をして欲しかったんだ。君たちに。本当の祭を。そして
       一緒に暮らしていきたかったんだ。でも・・・・・。
誠     まってくれ、一体君は。
二階堂 僕は、もう一つの地球「アダム」。君たちは「月」と呼んでいる。
       本当の祭をしてくれ。それが出来なければ、僕は、君たちが造った星と共に、この世
        界を洗い流さなければならない。
辻本   そうすれば、祭をすれば助かるのか。
二階堂 「イヴ」・・・・・地球もそれを望んでいるはず。

    立ち去る二階堂

誠     二階堂・・・・・。

    静まる場

辻本   なんなんだよ、本当の祭って。
飯塚   後、7分だ。

    だれも、何もしゃべれない

誠     ねえ、僕たちは何のために、学園祭をするのかなあ。

    泣きそうな誠

辻本   誠?
誠     やだよオレ。こんな事でみんなが死んじゃうの。やだよオレ、やだよ。
       だってそうだろう?オレ達は自分たちが一番したいことをしたかっただけじゃないか。
       それの何が悪いんだよ。「自由」を求めて何が悪いんだよ。
辻本   そうだよな、一番わがままなのは地球じゃねえか。結局オレ達作り出して気に入らな
       かったから、はいさようならかよ。へ!なんだよそれ!!

    ラジオFI

ラジオ  ・・・すでに肉眼で確認できます。後、5分です。後5分でこの地球は終わるの
       です。もう、我々にはどうしようもないのでしょうか。
       自衛隊による攻撃も大した成果を上げていません。このままでは・・・

    ラジオFO

辻本   畜生!!俺たちになにができるってんだ。なにをしろってんだよ!!
誠     落ちついてよ、
辻本   おちつけ、こんな時に落ちついていられるかよ!!
誠     こんな時だからこそ落ちつくんだろ!!
辻本   そりゃそうだが、・・・誠、おまえなあ、なんで何でそんな落ちついてられんだよ。
       少しは危機感感じろよ。
誠     いいじゃないか、昔からこういう性格なの、おれは
辻本   だからっておまえなあ
飯塚   ぷ、はははははははは
誠&辻本 あ?
飯塚   わ、わるい。子供の頃思い出しちゃってさあ
誠     子供の頃?
飯塚    ああ、子供の頃さあ、おれ鍵っ子だったんだ。覚えてるか?
       いつも飯は一人で食べてたんだけどよう・・・・・・・・。
       ほんと、寂しいんだ。かあちゃんの手料理だって分かっててもさあ、
       ・・・ほんと、・・・寂しい・・ん・・・・だ。
誠     飯塚?
飯塚  (涙を拭い)覚えてるか?いつだったか、どっからかぎつけたのか俺ん家来てさあ、
       飯を一緒に食ってやるから、感謝しろとか言い出してさあ。人が呆気にとられてる
        間に勝手に上がってすでに食べてんだもんなあ

    昔

3人   いっただっきまーす!!
辻本   お、なんだ、マコッチャンこれいらないの(ぱく)
誠     あ!!それ大事にとっといたのにー!!セイチャンの馬鹿!!
辻本   馬鹿ってなんだよーーー!!
誠     馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!!!!!
辻本   馬鹿って言った方が馬鹿なんだぞーー!!
誠     何だよ!
辻本   何だよ!
誠     何だよ!
辻本   何だよ!
2人   何さ!!

    間

辻本   ごめん・・・。まこっちゃん。
誠     あ、うん。でもこっちこそ意地になっちゃって
辻本   そんなことないよ
誠     そんなことあるよ!
辻本   ない!
誠     ある!
辻本   ない!
誠     ある!
誠&辻本 ある!(ない!)
2人   ぷ、くくくくくくく、あ、はっっはっっはっはっっはっっっっは!!


飯塚   いつからだろうな、あの頃のような屈託のない笑顔で笑わなくなってから、いや、
       笑えなくなってから。俺たちも、いつのまにか壁をつくっていたんだな。少しずつ
        少しずつ。自分でも気づかないうちに。
辻本   でも、それとこれと
飯塚   祭りってさあ、こういうことなんじゃないかなあ
誠     あ、そうか。

    誠、思い出す

辻本   なに?何だよ、おまえらばっかり。
誠     ねえ、オレ達が考えた学園祭、やってもきっと盛り上がらなかったんじゃないかなあ。
辻本   え?
誠     お祭りってさあ、きっとみんなと一緒になることだと思うんだ。
       他の人とさあ、喜び合うための物なんだと思う。
       だって、お祭りってそこにいるだけで楽しいじゃないか。
       知らない人とだって笑顔でいられる。
       一緒に笑っていられる。
       本当の祭りってそういうことなんだよ。
辻本   そうか、オレ達は、自分のことしか考えてなかった。
       ただ、自分が現実から逃げようとしていただけ。
飯塚   だから、オレ達のは「祭」じゃなかった。
誠     思い出したよ、あの時の約束。確かに二階堂はこういった。
       「一人でも多くの人を幸せにしようとしてくれ」と。
       僕たちは、僕たちは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

    大きな爆発音
    そして振動

ラジオ 奇跡です。奇跡が起こりました。隕石が止まりました。
       今、地上から100m程度の所で停止しています。

    M.E

誠     さあ、洗い流してくれ
ラジオ 隕石が、隕石から光が


辻本   この地上を、空を、海を、人を

    ガラスが割れるような音

ラジオ ああ、隕石がチリジリになっていきます。

飯塚   誰もが笑いあうことの出来る世界に。

ラジオ 雪?。まるで雪のようになって光を帯びたそれはまるで

誠     さあ、洗い流してくれ。世界を、そして

3人   さあ、祭の始まりを!!

    雪のような光が降ってくる。


誠     聞こえるかい、二階堂!
        僕たち、本当にしたかったことみつけた・・・・・いや、思い出したんだ。
        一人でも沢山の人と一緒に笑いたい。幸せでいたい。
        それが、祭りだったんだ。僕たちの一番したかったことなんだ。
        これが、答えでいいのか。・・・・・二階堂。
二階堂 あの時の約束は一人でも多くの人を幸せにすること。
       そう、一人でも多くの人を幸せにすること。
       ・・・・・ありがとう。

    照明・音響FO
    波の音
    ホリには海が映し出されていく(エフェクト等で)
    子供たちの笑い声が聞こえてくる
    大きな波の音

    終幕

上演許可について

実際に上演を行う場合は、以下の内容に同意いただき上演許可をお取りください。

全体の流れ

  1. 同意内容のご確認
  2. 上演料のお支払い
  3. 上演申請フォームからご連絡
  4. 1週間程度で許可証をメールで送付(PDFファイル)

許諾が得られないことは余程のことが無ければありませんが、もし不許可となった場合はご返金いたします。

同意内容のご確認

  1. 公演前に公演場所、日時、団体名、連絡先をこのブログのコメント欄に書き込んでください
  2. 作品タイトルや登場人物の名前の改変は行わないでください
    • セリフの言い回しはニュアンスが変わらなければ修正OK
    • セリフやシーンの追加や削除も大きくかけ離れることが無ければOK
  3. 以下に該当する場合、上演をお断りする場合があります。
    • 作品や作者の社会的な評価を下げると思われる場合
    • 社会通念上好ましくないと思われる場合
    • その他作者の事情による場合
  4. 許諾は申請いただいた公演に限って有効です。
    • 再演時には新たに「上演許可」をお取りください。
  5. 脚本の再配布、販売など公演以外での利用はこの許諾に含まれません。
  6. 公演により不利益が生じた場合、作者は損害に対する補填や保証は行いません。

料金

  1. 1回の公演につき5,500円 (税込)
    • 同日に複数回、複数日数行われた場合も変わりません。
    • 再演される場合は再度お支払いください。
  2. 高校生までの方が学校内での文化祭や発表会、部活動の大会で公演される場合は無料とします。
    • 同意事項は厳守ください。

その他

  1. 領収書はcodocから発行される物をご利用ください。
  2. 契約書を交わしたい場合は個別にご連絡ください。
  3. 無料で公演する際に「上演許可証」が必要な場合は個別にご連絡ください。すぐに対応できない場合がありますので時間に余裕を持ってお問い合わせください。

blog.katsubemakito.net

以上の内容にすべて同意いただける場合、codocでこの記事をご購入ください。
その後表示される入力フォームに必要事項を記入の上、お申し込みください。

この続きはcodocで購入