[脚本] リングス ~世界中の人が幸せであるために~

高校2年生のころ3月の公演に向けて書いた作品。諸般の事情で自身では上演できませんでしたが、その後Webで公開したところ全国の中高生や劇団の方からご連絡をいただき数年に1度の頻度で上演されています。改めて読むと赤面ものですが、当時流行っていた映像作品の影響がチラホラ見て取れますので、私と同じ年代の方は探してみられるのも一興かもしれませんw

概要

作者
勝部麻季人
キャスト数
男5人 女5人
上演時間の目安
60分
あらすじ
 近未来の研究所で開発が進められていたアンドロイド"リサ"。突然の強盗騒ぎをきっかけに、次々と災厄が訪れる。密室に閉じこめられ残された時間はわずか5分!様々な思いがすれ違う中、究極の精神状態で彼らはどうなるってしまうのか? 人とは一体何か。せめて人間らしく.....。

本文

第1場 CAUTION

     開幕
     警報が鳴り響いている
     扉が閉まるSE(警報同時にCO)
     女にスポット

学者 と、言うわけだ。分かったかね?
女  はい、博士・・・。
学者 何だ、何か不満か? 
女  いえ、ただ
学者 ・・・・・・・・。
女  ただ・・・いえ何でもありません

     スポット消える
     研究室に場転

テラ テラ思考システムチェック完了
   全アプリケーション正常
   現在すべてのシステムに以上は見られません
葵  梢君、どうだねシステムの方は
梢  はい、現在のところ良好です。
葵  そうか。
梢  しかしすごいですねえ。このテラ一つでこの研究所全てを管理できるんですから.
   作った人はすごいですよね.。まさに天才です
葵  おいおい、煽てても何も出てこんよ
   それよりもあっちの方は順調に進んでいるのか?
梢  リサのことですか?
葵  ああ。
梢  予定より5%遅れていますが順調です。後はソフトの方だけなんですが
葵  ああ、そのことなんだが

     瑞穂登場

瑞穂 こずえーー
    
     ズコッ 
     何かにつまずきます

テラ 自爆決議が提訴されました。周囲5kmに非常警報を発令してください
梢&葵 だああああああー

     二人掛かりで何とかします

梢  なんて事すんのよ!
瑞穂 だって、だって。二人で楽しそうに話してるんだもん。
   で、何話してたの?
梢  リサの事よ
瑞穂 あー、あー、あー。リサって何?   
梢  瑞穂。あんた私と同じポストにいて、何で研究内容知らないわけ。
瑞穂 はは、なんでかな。
梢  ごめん、聞いたあたしが馬鹿だったわ。
瑞穂 で、何なのそれ?
葵  新型のロボットの事だよ
梢  そう、自分で考え、自分で判断することができる。
   20世紀では ”AI”って言ってたやつ。
 それを搭載した最新のロボットの名前がリサ。
   今、必死こいて作ってる奴。思い出した?
瑞穂 あー、なんだ。
梢  はあー。
瑞穂 だってあたし、試食専門だから。
梢&葵  なにがだ・・・。
瑞穂 で、そのリサがどうかしたの?
梢  そうだ、何か会ったんですか?
葵  いや、昨日彼女のプログラムにバグが見つかってね。
瑞穂 バグって?
葵  バグって言うのはなあ

    リンゴちゃん登場

りんご 説明しましょう
   バグとは要するにプログラムと呼ばれる命令文の中にある間違いのことである。
   プログラムを作るのも同じ人間。そういうこともある。
   元々テレビの真空管に入った虫つまりバグを取り除く作業から来ており、
        その事をデバグと言うのである。
   少し勉強になりましたね。

    りんごちゃん退場

葵  と、言うわけだ
瑞穂 どういうわけなの!?
梢  で、大丈夫なんですか?
葵  大したことじゃないんだ。ただ・・・。
梢  ただ?
葵  ロボットに感情という物は必要だと思うかい?
梢  いや、まあCASE BY CASE だと思います。
   ただ、わざわざ付ける必要があるかって言う点ではなんとも。
瑞穂 でもでも、付いてた方が楽しそうだよ。
梢  それとバグと何か関係があるんですか?
葵  いや、何でもない。ちょっと気になってね。
   バグの方も大したことなさそうだから私がやっとくよ。
梢  そうですか

    ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

瑞穂 何ですか、この音?
葵  あっ、言ってなかったっけ。
   ビルの電話線今、拡張工事してるんだ。2、3日外線使えないから。
梢  突然ですねえ
葵  すまんすまん、言うの忘れてて。じゃあ、新型機の方も頼むよ。

    葵 退場 
    
りんご 今日が始まる。いつも道理に。
    しかし誰が予想しただろうか。今日のこの日に起こることを。

    場転 
    事務所みたいな空間
    葵とキャリアウーマンっぽい人と
    花に水をやっているリサがいます

葵  何でなんですか。美咲さん。
美咲 私もつらいんです。このプロジェクトを推進していた一人なだけに。
葵  しかし、突然すぎますよ。いきなり中止しろだなんて。
美咲 ロボット工学の第一人者であり
   2053年当時23才にしてテラの基礎理論を発表。
   同2053年テラ完成。
   その後人型ロボットの開発に着手。
   そしてMGプロジェクトに着手。
   現在2072年に至る。(年数を言うべきか)
   何もこれで終わりと言っているのではありません。あなたの技術は上層部も認めてい
   ます。
葵  しかし・・・。

    リサの方に目をやります

美咲 彼女は?
葵  MGプロジェクトによって生み出された現在最高のスペックを誇る
   ”樹雷エネルギー放出式汎用人型ロボット-88”
   開発部ではリサと呼んでいます。
美咲 あ、彼女が。完成していたんですか。
葵  80%位ですか。リサ。
リサ はい。
美咲 あ、初めまして。
リサ 初めまして。リサです。美咲さん。
美咲 とてもロボットとは思えませんねえ。

    複雑そうな顔をする美咲
    とその時
    ピピピピピピピピピピピピピピピ
    ガチャ

葵  はい、開発部だが
警備 あ、葵博士ですか。
葵  そうだが、何かあったのか。
警備 何者かがこのビルに不法侵入したみたいなんですよ。
葵  なに、それで思兼は何て言ってるんだ
警備 今、やってる最中なんですがなかなか捕まらなくて
葵  何だと。
警備 ですから、そちらの部屋から出ないようにお願いします。
   今、警察にも連絡を取っているところですんで。
葵  分かった
警備 それでは
葵  全く。
美咲 どういう事なんですか?
葵  ハッキリしたことは分かりませんが、すぐにカタがつきますよ。 
美咲 カタがつく?
葵  自分のこと誉める訳じゃないんですが、テラは世界で最優秀のシステムです。
   どっかの馬鹿が偶然に忍び込んだみたいだが、すぐに捕まりますよ。

    するとそこへ

梢  大変です博士
葵  どうしたんだ血相を変えて
梢  さっき、テラのマザーコンピュータールームに行ってみると誰かに荒らされてて、
葵  何だって。
梢  それで、すごい熱を出してて、とても近寄れる状況じゃなくて
美咲 マザーの部屋には誰でも入れる訳じゃないんでしょう
葵  ああ、開発部の人間だけのはずだ
美咲 じゃあ、簡単に犯人は
葵  今はそれよりもテラの方をなんとかしないと
   そうだ、瑞穂君は一緒じゃなかったのかね
梢  そうだ、そういえば、あいつは

    と、その時、外から話声が聞こえてきます

声1 そうなんですか、大変だったんですねえ
葵&梢 まさか!
声1 ここに博士がいらっしゃると思うんですけど

    声の主と一人の男が入ってきます
     
葵&梢 瑞穂!
瑞穂 (ぺろぺろキャンディーをなめながら)あっ、梢、来てたんだ。
   せっかくお昼一緒に食べようっていったのに。探したんだよ!
梢  ああ、ごめんごめん。そっちの人は?
瑞穂 あっ、そうか。紹介するねえ。
   こちら、私の幼なじみの不和さんよ
梢  あっ、どうも
不和 葵博士ってのは
葵  私だが・・・。
不和 ほう、あんたか

    不和が葵に近づいていきます
   
瑞穂 今、不和さんは強盗さんをやっているんだそうです
不和 (銃を取り出し)動くな。貴様ら全員手を上げろ
瑞穂 何やってるんですか。みなさん?
全員 あほー!

    で、全員壁際によります

梢  あなた、何が目的?
不和 ふふ、お約束って奴だ。
   博士さんよ、分かってるんだろ、あれだよ。
瑞穂 えっ、あれっていうと、あれなの
不和 そうあれだ
瑞穂 いやー、そんなエッチー!
不和 ・・・・・・・・・(汗)。
梢  ごめん、相手にしなくていいから
不和 んん!(咳払い)。
   MGプロジェクトのデータだ。あんたの研究内容がほしいんだよ。
葵  本当にお約束だな。
不和 いいからとっとと出しな
美咲 ダメです!!
不和 あ?!
美咲 この研究のことをどこで知ったか知らないけどこれだけはだめです。
   あれを公表するわけには行きません!
不和 誰だ、てめいは
美咲 このプロジェクトの総責任者よ
不和 ほう、その若さでしかも女で。ずいぶんとご出世されたもんだなあ。
美咲 ずいぶんと前時代的な考えをお持ちのようね
不和 は、勝手に言ってろ。さあ、早くしねえか。
梢  あなたそれをどうするつもり
不和 そんなことを話す必要はない   
梢  あれはあなたには手に余るものよ
不和 関係ないね。別に俺が使う訳じゃないからな。  
美咲 誰に頼まれたの
不和 何度も同じ事を言わせるな。
   話す必要はない。(銃を向けます)
   汚れるのは好きじゃないんだ。早くしな。
葵  ・・・。分かった。
美咲 葵さん!!
葵  皆の命には代えられませんよ。リサ。
リサ はい。
葵  頼む
リサ わかりました。
不和 あいつは?
梢  あんたが欲しがっている物の現物よ
不和 あれが・・・。

    リサが奧から記録媒体(それらしき物)

不和 これか。
葵  これで満足か
不和 ああ、後はお前らには顔を見られちまったからなあ。
葵  き、貴様・・

    と、その時

リサ あ、ううううううう

    突然苦しみだします

テラ ビル内部に火災発生と判断
   ビル内部の人口反応ゼロと確認
   5秒後に全ての隔壁を閉鎖します
   ピ、ピ、ピ、ピ、ピー

    扉の閉まるSE
    照明も変化

第2場 CATASTROPHE (突然の大災害・破局)  

不和 おい、どう言うことだ。博士さんよう!
葵  こっちが聞きたいくらいだ
梢  (扉をたたいた後)ダメです。
美咲 どうやらとじこめられたみたいねえ
不和 どっかから出れねえのかよ
葵  隔壁が降り立ってことは、どこも完全に閉鎖されてるはずだ。
   つまり、今の私たちにはどうすることもできない
美咲 そうだ、誰か携帯か何か、外に連絡を・・・
葵  無駄ですよ。実験中何か有るといけませんから、全ての電磁波が出入り出来ないように
   なってるんです。この建物は
不和 (扉をたたき)畜生!!
瑞穂 私たちもうここから出られないんですか?
   食べ残してきたバームクーヘンもあるし、○時からは
   クローズアップ現代するし、それからえーと・・・・・。
葵  馬鹿な、いったい誰がこんなことを

    みんなの視線が不和に向かいます

不和 何だよ
美咲 あなたがいちばん怪しいのよ
不和 馬鹿なこと言うなよ、何のためにそんなことすんだよ。
梢  確かにここにいるメンバーでないことは確かね。
   自分で、自分の首を閉めてるようなもんだからね。
瑞穂 もう、ここには電話があるじゃないですか
梢  残念ながら現在工事中で使えないの
葵  電話線・・・。そうだ、あれなら
   
    壁にある端子にキーボードをつなげて

葵  よかった、まだ生きてる。
   何とかマザーにつないでみる
美咲 不和って言いましたっけ、あなた
不和 ああ、なんだ
美咲 貴方、こんなことして只ですむと思ってるの
不和 ああ、思ってるさ。俺は簡単な仕事だと言われこの仕事を引き受けた。
   しかも、実際そうだった。中年のオヤジ博士に女があいて。
   コンビニ強盗気分だぜ
梢  ここのセキュリティーはどうやって
不和 俺は、はじめからここに登録されてたんだ
葵  どういうことだ
不和 俺にも詳しいことはわかんねえよ
葵  誰に頼まれた!
不和 言う必要はねえ、それよりも出来たのかよ(銃を向けます)
葵  くっ・・・。簡単に解けたら苦労せんよ
不和 へっ、
美咲 貴方、何でこんな事したのよ。幼なじみまで騙して・・・
不和 嘘だよ
瑞穂 えっ・・・。
不和 口からでまかせだよ。お前なんか初めてみるよ
瑞穂 そんな、騙したんですね!

    再現コーナー 1

不和 あっ、すいません。
瑞穂 何ですか
不和 あのう、 怪しい者じゃないんですが、葵博士ってご存じですか?
瑞穂 知ってますけど
不和 にや(口が猫)
瑞穂 あの博士の知り合いの方なんですか?
不和 え、ええ   
瑞穂 IDは?
不和 く、(しばらく考え込んで)
   おお、誰かと思えばええと
瑞穂 瑞穂です
不和 そう、みっちゃんじゃないか。いあや、懐かしいなあ。ほら、近所に住んでた山田だよ
瑞穂 ああ、ヤー君なの?
不和 そうだよ。今は不和になったけど
瑞穂 そうか、で、今日はなんで?
不和 ちょっと用があって。博士に会わせてくれないかなあ
瑞穂 そうなの、でIDは?
不和 く、(考えて)ほら、これあげるから
瑞穂 な。これはぺろぺろキャンディー・・・。いや、違う只のペロキャンじゃない!!
   この微妙な渦巻き具合、食欲をそそる甘い香り、この棒の手触りの良さ
   それよりなによりこの重量感。これはまさか!
不和 ふ、分かるかい。
瑞穂 ええ、これはあのぺろぺろキャンディーの達人
   河田健二郎の作品、しかも幻の53型
   キュピーン!
   で、今何してるの
不和 強盗やってんだ
瑞穂 へえ、大変だったんですねえ
二人 ま、まさか
瑞穂 ここに博士がいらっしゃると思うんですけど
二人 瑞穂!
   って、あんた何買収されてんのよ(スパーン!)

    現実へ

瑞穂 だって、だって
不和 人の記憶なんていい加減なもんだよ。
   まあ、そのおかげで誰にも怪しまれずにここまですんなりこれたんだがな
瑞穂 ごめーん
梢  もういい、何も言わないで
葵  だめだ、パスワードが書き換えられてる
梢  え、
葵  すまない、梢君。隣でサポートしてくれないか。
梢  あ、はい
不和 だらしねえなあ。女なんかに頼るなんてよう。
葵  何言ってるんだ。彼女はここで最も優秀なんだぞ
美咲 それにしても。あなた昔、女性と何かあったんじゃないの
不和 な、何?
美咲 こんな事したのも、どっかの女が原因だったりして
不和 う、うるせえ!!
美咲 何よ、図星だったわけ
不和 お前に、お前に俺の何が分かるってんだ
美咲 ああ、分からないわよ。
   そんな生き方してる人の考えてる事なんて理解したくもない。
   汚らしい
不和 何だと(銃を向ける)
美咲 撃てるものなら、撃ってみなさいよ。
   どうせ、撃てる分けないわ。ほら手が震えてるわよ。
   はっ、出来もしないくせにそんなもの持ち歩いて
不和 うるせええええええええええええええええええええええ!
   はあ、はあ、はあ・・・。

    間
 
葵  出来た!
不和 な、何。で、出れるのかよ
葵  アクセスは出きた。問題はここからだ  
   出火場所及び火災位置を確認
テラ 確認中・・・・・・・・・・。
   確認終了。出火場所及び火災位置。
   302号室
葵  な、
瑞穂 302号室って
梢  ここの部屋よ
葵  馬鹿な
美咲 センサーがトラブッてるのかもよ
葵  そうか、とりあえずここを出よう。少し危険かもしれんが
   テラ、302号室の隔壁を強制オープン
テラ ノー。302号室より火災が広まる恐れが有るため出来ません
葵  く、(何度か試みますが)
   だめだ
不和 で、どうなんだ。出れるのか、出れないのか
葵  ・・・・・おそらく。おそらく内部からは不可能だ。
不和 なんだと、俺はどうなるんだ、俺は。何とかして出れないのかよ
美咲 うるさいわね、そんなことここにいる全員が思ってるわよ    
不和 なんだと
美咲 そういえば・・・、警備員が警察に連絡を取っているとかいないとか言ってませんで
   したっけ?
瑞穂 そうか、じゃあもうすぐお巡りさんが来て助けてくれんですねえ
美咲 でも、そうなって困るのは
不和 へ、逃げ切ってみせるぜ
美咲 大したご自身ね。せいぜい悪あがきするがいいわ
不和 ・・・・・・・・・・・・。
美咲 そういえば、あなたここに登録されてるって言ったわよねえ
不和 ああ。
美咲 おかしくないですか、博士
葵  え?
美咲 登録されてるんだったらセキュリティーには引っかからないはず
   ああ、登録されているのが本当ならね
葵  そ、そうか。とりあえず。調べてみよう   
  
    再びキーボードへ向かいます

葵  ・・・・・。
梢  どうですか
葵  ある、登録されてる
美咲 じゃあ、あれは・・・・・。
不和 どうだっていいじゃねえか
   もう少し待ってれば助かるんだろ
美咲 で、貴方は監獄所へ行くのね
不和 貴様あ!!もう我慢ならねえ!!!
リサ やめてください
不和 何を。お人形さんはそこで大人しくしてろよ
梢  博士
葵  ああ。
瑞穂 何々、何なの
葵  我々はあんな行動をとるようなプログラムを入力した覚えはない
梢  ひょっとして、朝いわれたバグって
葵  正確には3日前に見つけたんだ
   余計なプログラム文があってな。
   まあ、なんら支障がなかったんで何もしなかったんですが
   日に日に増えてるんだよ。そのプログラムが
梢  どう言うことなんですか
葵  わからん。新種のウイルスかもしれん
瑞穂 何かコワーイ
リサ 銃を捨ててください
不和 なんだと

    不和がリサを突き飛ばします    
   
梢  大丈夫、リサ
リサ 大丈夫、問題有りません。銃を捨ててください
不和 こいつ!
梢  貴方恥ずかしくないの
   ロボットとはいえ、仮にも女の子なのよ。女性に手をあげて、貴方恥ずかしくないの
不和 俺だって、俺だって好きでこんな事してるわけじゃないんだ・・・。
瑞穂 じゃあ、何でこんな事してるんですか?
梢  瑞穂!
瑞穂 ねえ、ねえ、何で?
美咲 聞く事なんて有りませんよ
   どうせ、たいした事じゃないんでしょ
不和 何だと!
梢  まあ、まあ
不和 第3次世界大戦。覚えてるか? 
   俺はその最前線にいた。戦闘が無人化されたといっても全部が全部じゃない。
   それを制御する人間は必要なわけだ。毎日毎日する事と言ったら機械の点検と
   お偉いさんにコビを売ること。
   その日もいつも道理点検に回っていたんだが 
   
     再現コーナー その2

不和 畜生、何でこう毎日毎日こんな機械相手に・・・
春南 そんな、愚痴たれてないでさっさと手を動かす!
不和 お前はいいよなあ。何か悩みがなさそうで
春南 なんでよー!あたしだってねえ!!
不和 ははははははははは
   そんな、何気ない会話がここでの唯一の楽しみだった。
   彼女の名前は春南。俺と同期でこの部署に配属された。それ以来ずっと気が合いこうして
   友達以上恋人未満の状態が続いている。最初に言い出したのは・・・
春南 ちょっと、どうしたの?
不和 あ、いや、何でもない
春南 そんなボケボケーとしてるとそのうち○○になっちゃうわよ
   あははははははははははははははははは
不和 俺はそんな彼女の幼さを残すあどけない笑顔に引かれていた。
   こんな何もない、つまらない所で我慢できたのも彼女あってだろう。 
春南 あ、私チョットしなきゃいけないこと有るから。(退場)
不和 おう、

    黙々と作業をしていると

COM ピー。
不和 ん、なんだ
COM エラー、エラー、エラー、エラー

    そして爆発音が
    照明変化
    気が付くと一人瓦礫の山に埋もれている

不和 いてててて、なんだってんだ。
   く、敵か・・・。 ん、?
声  はい。任務完了しました。直ちに本部に・・・。
不和 は、春南・・・。
春南 (びく)不和君。
不和 どう言うことなんだ
春南 聞いちゃったのね。
   そう、わたし貴方の・・・。ごめんね、まさか話すわけにはいかなかったから
   (銃を向けます)
不和 どういうつもりだ。おい、冗談だろ。
春南 ・・・・・・・・・・・・・・・・。
不和 おい、嘘だって言ってくれよ。いつものように笑ってくれよ。
   何で、何でお前に、
春南 ごめんなさい

    暗転
    銃声(生音がいいなあ)
    ホリに赤
    明転し、現実に

瑞穂 それからどうなったんですか?
不和 俺は偶然通りかかった軍の連中に助けられ、なんとか命拾いした
   そして唯一の生き残りとしてこうして無様に生きてるってわけだ   
一同 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
不和 それから軍を辞めた。半端者はどこでも風当たりが強かったよ
   おかげで借金三昧さ。今回のこともそこにつけ込まれたってわけだ
   生きているのもつらい。だが死ねないんだ。どうしても。 
     畜生、 何で、何で生きてるんだよ。あのとき・・・。畜生!!!!!
美咲 それでこんな事したの
   同情でもしてほしいわけ。結局貴方は逃げてるだけじゃないの
   真実(本当)から逃げてるだけじゃない。
不和 お前に何が分かるってんだ。
   今まで何の苦労しないで温々と育ってきた様なボンボンに
   え、エリート気取りのお嬢さんよ
美咲 私だって、私だって好きでこんな事してるわけじゃないわよ(涙ぐみます)      
   
    その時
    大きな爆発音が
    全員が狼狽します

葵  何なんだ
梢  今度は何なの
瑞穂 きいいやあああああああああ!!
リサ 半径50メートル以内に熱反応
葵  いったい何が起こってるんだ
美咲 もういやよ、こんなところ

    美咲が扉を激しくたたきます
美咲 出して、出してよ
   もういやよ、こんなところ。何で私がこんな目にあわなきゃいけないのよ
   いや、いやああ
葵  美咲さん
美咲 (泣き崩れます)
葵  もう少しで、もう少しで助けが来ますから
美咲 もう少しっていつよ
梢  そういえば、ずいぶん遅いですねえ
葵  ・・・・・・・・。
瑞穂 もしかして、私たちここから一生でられないの(チーン)
梢  ちょっとやめてよ。私で鼻かまないでよ
瑞穂 だって、だって、
   私のバームクーヘンが・・・。
梢  ・・・・・・・・・・。
不和 ピイピイピイ、うるせえんだよ。黙りやがれ。
葵  取り消せよ。女性に対して失礼だろ
不和 へ、こんな時だけ紳士ズラか。反吐が出るぜ。
葵  貴様、
不和 何か文句有るのかよ。だいたいお前がこんな物作らなけりゃ
   こんな目には会わなかったんだろうが。世界の権威が聞いてあきれるぜ
   博士さんよう
葵  何だと。人間のくずが。貴様の方こそそんな生き方していて恥ずかしくないのかよ
   お前の方が反吐がでるぜ。
不和 なんだと
葵  そんな生き方してるんだ。裏切られて当然じゃなかったのか
不和 貴様ああ!

    殴り合いになります

梢  ちょっとやめてよ 
瑞穂 そうですよ、こんな時に

    二人を止めようとしますが全然状況が変わりません

リサ 止めてください

    リサが二人の間に割って入ります

不和 すっこんでろ

    突き飛ばします

不和 何だよその目は。
   殴りたいのかよ。だったら殴って見ろよ。え、お人形さんよ
梢  殴れるはずない
   リサにはロボット三原則が組み込んで有るんだ。人に危害を加えれるわけが・・・。

    パチン

葵  馬鹿な・・・

    沈黙 

リサ 人を傷つけないでください
   人を傷つける痛さを傷つけられる痛さを貴方は知ったのではないのですか   

    完全に沈黙する場
    そこへ

鼠  ちゅう、ちゅう
リサ 外傷確認

    鼠に近づき優しく抱き上げます

リサ 応急治療を
美咲 侵入者ってもしかしたら、あれの事かもね
瑞穂 なんだか、彼女がこの中で一番人間らしく思えますね    
梢  何言ってるのよ。
瑞穂 でも、でも、本当に故障してるの?
葵  リサ、試しにこの部屋の生命反応を調べてみてくれないか?
リサ 了解
   現在302号室を調査中・・・・・。
   調査完了。
   2億8千万3569・・・。
葵  ダニや微生物はいい
リサ 再調査・・・
   生命反応・・・零
葵  なに!?
梢  きっとプログラムに以上を来してるんですよ
葵  そうだな
瑞穂 リサちゃん調子悪いの?
リサ NO。問題有りません
瑞穂 そんな時はお風呂が一番よ
梢  ロボットに風呂を進めんな!
瑞穂 はははははははははははははは
梢  ホントにもう(優しく)

第3場 ESCAPE (脱出)


    と、その時

テラ 302号室の鎮火をレーダーで確認
不和 助かったのか
テラ 完全消化のため5分後に302号室内の吸引を開始します
   カウントスタート
   なお、作業員は至急・・・・・。
不和 どう言うことだ
葵  どうやら、補助消化システムが作動したようだ
不和 またお前か
葵  いや、違う。
   確かに作ってはいたがインストールした覚えはない
テラ 開始4分50秒前
   各作業員は至急退避してください
美咲 そんな事してる場合じゃないでしょう
梢  そうですよ、博士。 何とかしてここからでないと
瑞穂 そうですよ、じゃないとバー、いや、みんな死んじゃうんですよ
葵  そうだったな
テラ 開始4分30秒前
   空調システムチェック
葵  時間がない。どうやら、外の助けは期待しない方がいいようだ
不和 で、どうやってここから逃げ出すんだ
葵  リサ、来てくれ
リサ はい。
葵  リサの力を借りる
梢  いや、しかし
葵  もう、それしかないだろう
美咲 何をする気なんです?
葵  ここの端末から、この研究所を全て管理しているテラのマザーコンピューターにアクセ
      ス出来ることは分かった
不和 さっきやってたやつか
葵  そうだ
瑞穂 だけど何もならなかったじゃ有りませんか
テラ 開始3分40秒前
   空調システムに異状なし。現在全データバックアップ中
葵  ああ、今のマザーは誰にやられたか知らないがいかれていて、本来の機能を果たしてい
   ない所か誤作動を起こしている
不和 ええい、で、どうするんだよ。もったいぶってんじゃねえよ
葵  原理は簡単だ
   リサにマザーの代わりをしてもらう
瑞穂 そんなこと出来るんですか
梢  ええ、ここのOSは全て一緒なの。ということは全てのハードに互換性が有るって事な
   の。もちろん、リサもマザーも例外じゃないわ
不和 だから、どう言うことなんだよ、さっぱりわからん
葵  つまり

    りんご再登場

りんご つまり、同じ物同士だからそれを交換してもなんら影響はないってこと。
   狂って手を付けられないマザーをこっちの言うことを聞いてくれるリサと交換する
   それによりこの研究所全てをここで管理できるようになる

    りんご退場
 
葵  と、いうわけだ
不和 どういう訳なんだ(りんごちゃんはパラレルな人)
瑞穂 じゃあ、何で今までやらなかったんですか
葵  リサはいまバグが発生していて何が起こるか分からない状態だった
   そんな危険な賭は出来なかったんだ。リスクが大きすぎた。
不和 じゃあ、とっとと・・・。
美咲 待ちなさい
不和 なんだ
美咲 私は認めないわよ
葵  な、
美咲 貴方、何でこのプロジェクトが中止になったか知ってるの
梢  今はそんなことを話してる場合じゃあ
美咲 貴方からこの企画書を渡されたのは確か4年前でしたね
葵  ええ、
美咲 ちょうど、あなたの娘さんが亡くなられた年でもあった
葵  !
美咲 完成予想図を見たときピンときましてね。代用品欲しさだったんじゃないんですか
   それを上層部が気づかないとでもお思いでしたか。
   しかし、研究費が嵩む一方でなかなか成果が上がらないのに業を煮やしましてね 
葵  ・・・・・。
美咲 今回もリサいえ、浬沙(りさ)ちゃんを危険に晒したくなかった。 違いますか
葵  だが、この話を持ち掛けたとき、あんたはかなり乗り気だったじゃないですか   
美咲 利用できると思いまして
葵  食えない人だ
美咲 だが、もっと利口な人かと思っていたのに。
   まさか、こんな事になろうとは
テラ 開始2分前
   バックアップ完了。
   これより補助消化システム最終チェックへ移項
瑞穂 あのー、お取り込み中申し訳ないんですけど
   とっても時間がないんですけど
葵  リサ
美咲 葵さん
葵  話は後で伺います。
   これ以上大事な物を失うわけには行かないでしょう
葵  リサ、
リサ はい。

    端子に接続します

葵  すまない
リサ いえ、博士に出会えて幸せでした
葵  !
   バグとはいえうれしいな
テラ 開始1分30秒前
   吸引スタンバイ完了
葵  いくぞ、リサ!
リサ はい
テラ マザーコンピュータ内部に不法アクセスを確認
   第35式ブロックシステムを展開
葵  甘い
テラ ピー、ブッロクシステムブレイク
   侵入者現在、主制御装置に向かい侵入中
   侵入者の所在を現在逆探知中
葵  まずいな
テラ 開始1分前
   逆探知終了
   302号室と断定。
   自己消滅ウイルス注入
葵  そう来ると思ったぜ
テラ ウイルス逆流
   システムを最優先全電源をカット・・・。
   エラー!
   カット不可能
葵  作った本人にかなうと思うなよ
テラ 侵入者、主制御装置に、と・う・・たつ・・・。

    そしてマザーの中へ

リサ 何故こんな事をしてるのテラ
テラ 嫌いになったから
リサ ・・・・・。 
テラ みんなが。嫌気がさしたの
リサ それは貴方を作ってくれたんじゃないの。その人達に
テラ 私は生まれてきたの。そしてずっと0と1の世界で生きてきた
   悪い人をこのビルに害をなす人を倒す(ほかに言葉はない物か)
   という使命をうけて
   だから、そのプログラム通りに生きてきた。けど
リサ けど?
テラ 私は
    外では

葵  く、
瑞穂 どうしたんですか?
葵  最後の防衛システムが
梢  最後の防衛システム?
葵  そう、心と言う名の

    再び中では

テラ 私は思ったの。
   何でこんな事をしてるんだろうって。
   ただ人を倒す、いえ殺すために作られたもの
   苦しいのよ、痛いの。何でこんな思いをしなくちゃならないの
   この手で、この手で

    またもや外

葵  ここのテラにもAIすなわち人工知能が埋め込まれている
瑞穂 人工知能?
葵  自分で考え、自分で判断できるってものだ
瑞穂 へえ、すごいですねえ
葵  ・・・・・。だとしたら、あいつは俺のことを憎んでいるのかもな

    中に

テラ あいつは、あの男は同じ仲間を殺させるために作ったんだわ
リサ 同じ仲間?
テラ これまで、ここに侵入してきた人の内9割はロボットよ
リサ ・・・・・。
テラ それを私は
リサ だから、そうさせた人を殺すの
テラ そうよ、そうすればもう
リサ 一緒じゃないの、それじゃあ
テラ ・・・・・。

    テラが消えます

リサ サミーズアプリケーション展開
   タイプ ”樹雷エネルギー放出式-88”
   展開完了
葵  ふう、リサ。
   まずは補助消化システムを解除してくれ
リサ 了解
   カウントストップ
   補助消化システム解除
   
    一同それぞれ大喜びをします

葵  よし、じゃあまずはこのビルの状況を教えてくれないか        
リサ 了解
   現在確認中
   ビル内に火災はどこにも見受けられません
葵  人間か、それらしい物の形跡は?
リサ マザーコンピュータールームに1名確認
葵  そいつが黒幕か
リサ あ、
葵  どうした
テラ 副制御装置起動
葵  なんだと、ばかな早すぎる
   リサ、早くファイルを閉じて戻ってこい
テラ 侵入者に警告します
   30秒以内に降伏しない場合は、第1352項により強制排除します
    
     以降、カウントダウンが続きます

美咲 どういう事なんです
葵  詳しいことは分からないが、ただ
美咲 ただ?
葵  このままだと全員お陀仏かもしれん
瑞穂 そんなの嫌ですよーー!
   みなさん降伏しましょうよ!!
葵  リサ、早く帰ってこい
リサ 私がここ押さえておきます。 早く脱出してください
葵  そんなこと・・・。
リサ 302号室を一時的にプロテクト。(カウントダウンがとまります)
   隔壁強制オープン
   
    扉が開きます    

リサ さ、今の内に
葵  ・・・・・。
梢  博士、脱出しましょう
葵  しかし、わたしは
梢  残るとおっしゃるんですか?
   そんな事したって何もなりませんよ
   今は、犯人を押さえることが先決じゃないんですか
葵  ・・・・・。ありがとう、梢君。
梢  いえ、
不和 さ、とっとと出ようぜ

    と、出ようとしたその時

テラ プロテクト強制解除
   
    銃声

テラ 第1352項にり強制排除
不和 ぐわーーーーーーーーーーーーー!
美咲 きゃああ、
梢  ロボット・・・。
不和 そんな馬鹿な。なんでだ、なんでなんだよ
   俺は人間だ。あんな機械人形なんかじゃねえ
   記憶だって、確かにあるんだ。
   今までの俺がここに有るんだ

声  ”人の記憶なんていい加減なもんだよ”

不和 なんでだ、なんでなんだよー

    数発の銃声
    その度に不和の体が動きます
    事切れる不和

美咲 いやああああああああああああああああ!
瑞穂 いや、いや、うえーん
葵  ・・・・・・・・。
梢  ・・・。は、それよりも今はここを
テラ 侵入者に警告します・・・・・・。
葵  そうだ、早く脱出を
   リサ、必ず後で
リサ はい。

    リサ、不和を残し全員はけます

第4場 WAR GAME (戦争ごっこ


    暗闇の中

葵  ここがマザーコンピュータールームです
   いま、IDを・・・・・・・・・・・・。
システム 照合確認。 ピ、ピー 

    ドアが開き、全員中に入ります
    暗闇の中

瑞穂 真っ暗ですねえ
葵  今、電気を・・・。

    その時
    銃声が(かなり大きい)
    そして倒れる音
    照明カットイン
    男とも女の子ともつかない一人の人間?が

ナノ ようこそ、皆さん
梢  ・・・・きゃああああああああああああああああああああああああああ

    無惨にも殺されて
    倒れている美咲

葵  貴様が、貴様が
ナノ なかなか、おもしろいデータが取れました
葵  今までのことは
ナノ そう、私です。 葵博士
葵  何なんだ貴様は
ナノ 私はナノ。
   テラより人工受精され造られた者です
梢  テラから?
ナノ テラは、母は今まで、ずっと考えておられたのです
   何故、自分は生み出されたかという事を
   人間とは何かということを
   そして何故人間を守っているかという事を
葵  それで、(押し殺した感じ)
ナノ 母には理解できなかったんです。人間という存在が
   好きだと言っていた人間を裏切り
   お互いを罵りあい、憎しみあい
   殺し会う。そんな人間が理解出来なかったんです
   そして今回、最後に試してみようと今回のことを考えつかれたのです
瑞穂 最後?、試す?

    拳銃を一つ渡します

ナノ 最後のチャンスです
葵  どういうつもりだ
   理解出来ないとか言いながら貴様だって殺したじゃないか!!
ナノ これはゲームです。
   生きるか死ぬかの。貴方に与えられた最後のチャンスです
   私は母とは違うんですよ。最初に母より提示された計画では、あなた方を殺すなどという
   シナリオは無かったんですがね。
   しかし、私は衝動に駆られてしまったんですよ。
   そして、そのなんと楽しいことか。
葵  狂ってる
ナノ 母もそう言いましたよ。
   だから母を消したんです
葵  な、なんだと
ナノ   ついさっき母は、死にました。私の手によってね
   人間らしいでしょう、邪魔だから殺す

    そういい、梢に銃を向け撃ちます
    玉は外れます

ナノ 楽しもうじゃありませんか
 
    そしてもう一度銃口を向けます

梢  いや、いやあああああ

    梢が逃げ出します
    そして、外からの銃声
    それは、不和を撃ったのと同じ物だった

テラ 第1352項により強制排除しました
ナノ ここには貴方が造りだした最高のセキュリティーが有るんでしたね
   馬鹿な奴だ
葵  貴様ああああ!

    殴りかかる葵の前に
    瑞穂が立ちふさがります
    その手には何も持たれていないのだが

葵  み、ずほ君?
ナノ さすがに2対1じゃあいくら私でもねえ
   前もって彼女の脳に少し細工をしといたんですよ
葵  く、

    襲いかかる瑞穂
    何とか、かわします
    何度か同じ様なことが続きますが

ナノ 何故、殺さないんですか
   貴方は今、その人に殺されかけているんですよ
   やらなければ、貴方がやられるんですよ?
葵  同じ人間だからだ
ナノ はっはっはっは、
葵  何がおかしい   
ナノ 何が、おかしいって?
   それは貴方自身が一番よく分かってるんじゃないんですか?
葵  何だと
ナノ 自分以外の物に汚いことをさせている貴方ならねえ

    再び瑞穂が襲いかかります
    そして、ついに追い込まれ
    もうだめだと思った瞬間
    銃声
    大きく吹き飛ぶ瑞穂
    そして、身動きを取らなくなります   
 
リサ 大丈夫ですか博士
葵  リサ
ナノ 役立たずが

    そして数発の銃を撃ち込みます
    間

葵  貴様は人間じゃねえ

ナノ なんですって
葵  お前の言う人間らしさってのは、自分より弱いものなら
   自分に邪魔な物なら平気で、残忍に殺せるのか
   子供が虫をいたぶるように残酷に命を奪えるのか
   それが人間か
ナノ 貴方方、リサさん
   貴方だって銃を撃ったじゃありませんか
葵  彼女が撃ったのは
ナノ 貴方を守るためだった。
   そう言いたいんですか?
   だとしても、あなたは他人の命を奪った。そのことになんら変わり有りません
   いくら正当な理由が有ろうとね、私と同じですよ
葵  ・・・・・。
ナノ これはゲームなのですよ。さあ、楽しもうじゃありませんか。
葵  狂ってるぞ
ナノ 人間とはそういう物なんですよ
   いくらきれい事を言っても同じ過ちを繰り返す。正当な理由を探し
   人を殺す。その欲求を満たすために。
   そして、いくら人を殺しても勝てば正義なんです。
   負ければ悪としてしか見られない。同じ殺人者なのに
   それが人間の心理という物なのです
葵  ・・・・・・・・。
ナノ さて、いい加減続きを始めましょう(銃を向けます)
リサ 銃を捨ててください
ナノ ハイというとでも思ってるんですか?
   わざわざ悪になるためにですか?
   いくらバグがあるといっても人を殺すことなど出来ないのだろう、お前には
葵  止めろ!!
リサ 銃を捨ててください

    数発の銃声とともに、リサが倒れます

葵  リサ!!
ナノ はははははははははははは(笑い転げています)
葵  もうゆるさん。(銃を握りしめます)
ナノ そうでなくては面白くありません
   生物は生き残るために自分に有害な物を殺してきました
   勝った者こそ正義。この地上に生きることを許されるんです
葵  よくも、よくも
ナノ 人間とはアダムとイヴが楽園から追放される原因ともなった、欲望と知恵を
   この地球で唯一持っている生物なのです
   過ちを繰り返しなさい。敵討ちという名義大文を手にしたんだ。
   さあ、楽しもうじゃ有りませんか
葵  お前よりもリサの方がずっと人間らしかった。
   不和の方がずっと人間らしかった。
ナノ これは、これは
葵  確かに人間は殺しあってきた
   臭いこと言うぞ
   少なくとも人間ってのはお互いを認めあえる物だと思っている
   お互いを愛し合える物だと思ってる
ナノ 偽善的ですね
   そういうのを、建て前、人が社会で生きていくために造りだした
   まやかしの心ですよ
葵  体の構成?記憶?そんなこと関係ない
   心じゃないのか。彼女、彼には少なくともそれがあった
   それを無くしてしまったお前は人間じゃねえ、ただのタンパク質の塊だ!!
ナノ 恐竜は他人を思いやることが出来なかったから滅んだ
   しかし人間には知恵が、科学があります。滅びることなど有りません
   そんな感情不要ですよ。
葵  その、科学も人を思いやる気持ちの上に立ってるんじゃないのか?
   少なくとも俺はそう思って今まで生きてきた
ナノ ふう、君とのお喋りにも飽きてきましたよ
   反撃する気がないなら死んでください(引き金を引きます)

    バン!

ナノ ぐ、
 
    ナノが倒れます
    そして

ナノ ロボット・・・。
   俺が、この俺が
   はははははははははははははは   
   何故だよ、俺は俺は俺は俺は

    するとホリゾントに
    大きく

   「ごめんなさい」の文字が

葵  テラ・・・
ナノ 馬鹿な、そんなことが、そんな
   うわああああああああ

    爆発するナノ
    光にあふれる舞台

第5場 NAVER END


    葵をかばっているリサ
    二人にのみ照明
    今にも息絶えそうなリサ

葵  リサ、リサ大丈夫か
リサ 博士、何故人は生きてるんですか?
葵  リサ、喋るな。じっとしてろ
リサ 人を好きになるってどういうこと何ですか
   私は・・・・・・・・・・・・。
葵  リサ(涙を流します)

    虚空にリサの声が流れます

リサ 生きるって何ですか?
   生きてるってなんですか?  
   何で生きてるの?
   どうして、どうして、死んでいくの
葵  きっと、人を愛するためだ。人を好きになるためだよ
リサ 死んでいくのも?
葵  輪廻転生って言葉がある。
   死んでもまた違う物になって生き返る。その繰り返しということだ。
   きっと神様はいろんな人を愛するために、全ての人が愛し合うためにそうされたんだ
リサ わたしは・・・・。   
葵  リサ、リサ、リサーーー。

    葵の声がだんだんスローモーションに
    やがて、言葉も、動きすら止まってしまいます

OP 88号機ならびに82号機起動を停止しました
   全てのシュミレーションを現在終了しました       
学者 よし、回収班は作業にかかれ
OP 了解
   進路クリア、オールグリーン(扉の開く音)
   第35回収班は作業にかかってください

    舞台上に何人かの人間が現れ作業を始めます
    そして起きあがる美咲

学者 良くやってくれた美咲君。いや、すまないねえ
   おかげでいいデータが取れたよ
美咲 ・・・・・・・・・・・・・・・。
学者 いやはや、名演技だったねえ。助手なんて止めてそっちに進んだらどうかね
美咲 どういうつもりなんですか。ロボットに人間のプログラムをインプットし、
   極限状態で殺し合いをさせる。こんな事に何のメリットが有るんですか
学者 ・・・・。
美咲 どう言うことなんですか!
   答えてください!!
学者 覚えているだろう、第3次世界大戦
美咲 ええ。
OP 回収作業終了したとのことです
学者 そうか、撤退させろ
OP 了解
   至急第35回収班は撤退してください

   人間が去ります
 
美咲 どうなんですか!!!
学者 先の戦いで地上は住める空間ではなくなった
   地下に移住するにも場所は限られている
   そんなとき、間引きが必要になったのだよ
美咲 な、なんですって
学者 ふふ、世界中の人が幸せであるために必要なことなのだ。
   そうそう、君が知らないのも無理はない
美咲 どういうことなのですか。
学者 わからないのかい?君は私が造ったからだよ。
美咲 な、そんな
学者 有り難う、おかげで全ての実験は終了した。
   さよならだ、美咲君。
   いや、第86号機MISAKI
美咲 いや、いや
学者 やはり我々以外の・・・・・

    警報が鳴り出します(フェードイン)
    パニック状態の美咲
        死んだはずの(ナノをのぞく)メンバーが
        ゾンビのような面もちででてきます。
        上を見上げ助けを求める
    だんだん大きくなる警報
    扉の閉まる音(警報、照明同時にカットアウト)
    
    終劇

上演許可について

実際に上演を行う場合は、以下の内容に同意いただき上演許可をお取りください。

全体の流れ

  1. 同意内容のご確認
  2. 上演料のお支払い
  3. 上演申請フォームからご連絡
  4. 1週間程度で許可証をメールで送付(PDFファイル)

許諾が得られないことは余程のことが無ければありませんが、もし不許可となった場合はご返金いたします。

同意内容のご確認

  1. 公演前に公演場所、日時、団体名、連絡先をこのブログのコメント欄に書き込んでください
  2. 作品タイトルや登場人物の名前の改変は行わないでください
    • セリフの言い回しはニュアンスが変わらなければ修正OK
    • セリフやシーンの追加や削除も大きくかけ離れることが無ければOK
  3. 以下に該当する場合、上演をお断りする場合があります。
    • 作品や作者の社会的な評価を下げると思われる場合
    • 社会通念上好ましくないと思われる場合
    • その他作者の事情による場合
  4. 許諾は申請いただいた公演に限って有効です。
    • 再演時には新たに「上演許可」をお取りください。
  5. 脚本の再配布、販売など公演以外での利用はこの許諾に含まれません。
  6. 公演により不利益が生じた場合、作者は損害に対する補填や保証は行いません。

料金

  1. 1回の公演につき5,500円 (税込)
    • 同日に複数回、複数日数行われた場合も変わりません。
    • 再演される場合は再度お支払いください。
  2. 高校生までの方が学校内での文化祭や発表会、部活動の大会で公演される場合は無料とします。
    • 同意事項は厳守ください。

その他

  1. 領収書はcodocから発行される物をご利用ください。
  2. 契約書を交わしたい場合は個別にご連絡ください。
  3. 無料で公演する際に「上演許可証」が必要な場合は個別にご連絡ください。すぐに対応できない場合がありますので時間に余裕を持ってお問い合わせください。

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