Q.口紅に青酸カリを混ぜ込んでおいて殺害するトリックがあったのですが、これって可能ですか? A.不可能です。 青酸カリは刺激が強すぎ、唇へ塗った瞬間に激痛がし気がつきます。洗面所に直行し助かるケースがほとんどでしょう。飲み物に混ぜるケースも同様で、それらの刺激を誤魔化せるレベルの刺激物に混ぜなければならず、水やお茶では難しいです(要約)
どうも裏側のことが知りたくなる性分で、学生のころはプレステのプログラムを書いてみたりしたわけですが(キャラをぐりぐりコントローラーで動かすだけなら簡単)、ふと手に取った作家や出版社の事情が書いている本を最近読んでます。
かなり踏み込んだ具体的な内容になっているのですが、この踏み込んだばかりに踏み外している感じがたまりませんでした(笑) Q&A形式になっており、例えばこんな感じの設問が並んでいました。
- クロロホルムは、どんな匂いでしょうか?
- 悶え苦しませて殺す方法として、濃硫酸を使うのは?
- 毒キノコはミステリーに使えますか?
- 犯人が身元を知られずに買い物をさせるには?
- 関ヶ原合戦の時の中山道の道幅は?
- 帝国海軍の暗号コード表は?
- レーザー砲を搭載した空中戦艦の実現性は?
もうね、目次を見たら買うしかねぇという気にさせられます(笑)1ページから長い物だと3ページ程度のまじめな回答付きでSF、時代物からミステリーなどを執筆する際の参考程度の気持ちで書いているのでしょうが、具体的すぎて笑えます。このばかばかしいことを具体的に真顔でというコメディの基本が踏襲されているあたり、実はそっちの方が主題なんじゃないかと思ってしまいました(笑)
ちなみに、空中戦艦はYAL1という試作機が実際にあるらしく、レーザー砲も搭載しているらしいとのこと。
それ以外のところ、おそらく主題と思われる出版界の事情や作家の取り分、実際に小説を執筆する際のセオリーなどは読んでいて感心する部分も多かったです。 小説って、マンガと比べて読み手の想像力をかき立てるのが長所でそういう物が売れてるのでは?と思っていたのですが、実際にはその逆。極力頭を使わせないような描写をするものの方が売れているんだとか。 例えば西村京太郎のトラベルミステリーシリーズ。心身共に疲れたサラリーマンが電車の中で読む物として、本格的な頭を使うミステリーは疲れるため敬遠されるんだとか。
確かに情景などの描写は想像力を使うのでしょうが、思い出す、連想する程度、浅いレベルでの想像力で、頭を極力使わない物が求められている(=売れている)そうです。
逆にジュニア向けの小説(ライトノベルとかもかな?)は、そういった描写をあまり書かないのが一般的なんだとか。大人に比べて想像力が豊かな性か、描写を少なめにした方が読みやすい(指示される)んだそうです。 ※わたしは未だにビッチリとした描写が書いてあるのより、想像力を使ってテンポ良く読めるのが好き(^^;
ほかにも何げなく読んでいると気がつかないコツのような物が たくさんあるんだなぁと思い見ていました。
- 同じ章や節内で他の人に視点を変えない (Aさん視点で書き始めたら、次章までAさん視点)
- 伝聞だとドキドキ感がうすい (登場人物に体験させる。伝え聞いた話だと弱い)
- 神様視点にならない (一人称で暗闇にいる人、背後にいる人の描写は出来ない)
ほかにも業界事情として
- 受賞作家が十年後も生き残っているのは500人に1人
- 新人の本を刷るときは1万部未満
- 新人の場合、印税は6%程度。1冊470円で1万部刷ったとすると28万2000円が収入となる。新人で増刷されることはマレ。(驚きの安さですね(^^;)
おもしろどころとしては新人賞の「新人」とは、500~1000万クラスの章を受賞していなければ新人として通るそうです。10年くらい書いているプロが応募して受賞したケースもあるんだとか。まぁ、売れそうで有望な人なら誰でも良いんでしょうか(^^;
いやぁ、なかなか面白かったです。 普段読んでいる本も、こうやって別の角度から見ると違った感慨がありますね。ただ、プレステの時もそうでしたが、裏側を理解しすぎると面白くなくなるというジレンマがある点にはご注意を(笑) ※実際ゲームをやってるとプログラムが浮かんできて 集中できないことがあります。あ、この処理はあの 変数の値を変えて手を抜いてるな、とか(笑)
稼ぐ作家になるための裏技Q&A174
内容(「MARC」データベースより) 企画書の書き方、登場人物の設定の仕方、原稿を持ち込む時や新人賞に応募するときのポイント、原稿料や印税についてなど、作家志望者なら誰もが知りたい疑問に答えた実用書。